ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第105話

二百九十七頁目

 

 ち、違うんだっ!! そんなつもりじゃなかったんだっ!!

 ただフローラに見せてあげたくて、お土産代わりに……な、仲間になってほしかっただけなんだっ!!

 ま、まさか麻酔矢が当たったぐらいで死ぬなんて思わなくて……ああっ!! ご、ごめんよペンちゃぁああああんっ!!

 

 君たちがこんなにか弱い生き物だなんて知らなかったんだっ!!

 うぅ……あんなに無警戒に近づいてきてくれていたこんな無害な生き物にクロスボウを打ち込むなんて俺は何を考えていたんだ……。

 この島のおきてに染まり過ぎていた……久しぶりに罪悪感が凄まじい。

 

 手渡しで食事を受け取ってくれないからって自然な動作で矢を射かけた自分の野蛮さが恐ろしい。

 ……そして死体をこのままにするのも惜しくて、涙を流しながらも供養のつもりで解体してしまう自分の習性も……。

 ごめんよペンちゃん……こんなことで償いになるとは思えないけど、せめて君の身体から取れたこの皮と霜降り肉とこのもこもこのクリーム状の……んっ!? なんだこれはっ!?

 

 形状が変わるのに時間経過で固まって……頑丈になるけれどセメントに似てるようでまるで違う手触りに感触……こ、これはまさか……あの設計図に書いてあった有機ポリマーなのかっ!?

 まさかこんな形で探していた新素材を見つけることになるなんて……だけどもうこんなもの集めても仕方がない。

 何より時間経過で固まるから、それまでに組み込まないと使い物にならないし……乾かないように動物の身体にくっついている体温が伝わる場所で保管すれば少しは持ちそうだけど……だから大量に集めないと使えな……って俺は今何を考えたっ!?

 

 本能的に新しい素材を見つけたことで集めたいと衝動的に思ってしまったっ!!

 だけどそれはペンちゃんを虐殺することに他ならない……そんな真似は出来ないっ!!

 大体もう洞窟を攻略する気が無い以上はこの有機ポリマーを利用した暑さ対策の防具なんか作る必要は……そう言えばこの島は季節とかはあるのだろうか?

 

 もしも物凄く暑い季節があったとしたら……いや、この島で暮らしていくうえで停滞を許さないシステムが温度変化で俺たちを追い立て始めたら……フローラが先を見据えて色々な素材を集めておいて欲しいと言っていたことを思い出す。

 ……周りを見渡せば俺からよちよち歩きで逃げていく有機ポリマー……じゃなくてペンギンたち……だけど足が遅いから追いつこうと思えば幾らでも……回収し放題……はっ!? お、俺は今何を考えたっ!?




【今回名前が出た動物】

カイルクペンギン(ペンギン・ペンちゃん)
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