三十八頁目
ようやく落ち着いてきた……いやこれは落ち込んでいるというべきなのだろう。
だけど仕方ない、短い間とは言え初めてできた仲間を失ったのだ。
それだけじゃない、帰る家も今まで溜めた資材も拠点さえも……身に着けていた物以外の全てを失った。
それもこれも僕が寝過ごしたから……もっと早く起きていればスピノの襲撃に気づけたはずなのに。
そうすればもっと色々と持ち出せていた……少なくとも寝る前の僕が出した指示に忠実に従って、スピノに果敢に挑んでいったエーちゃんとドーちゃんは死なずに済んだはずだった。
僕はどうしようもない馬鹿だ……ごめんよエーちゃん、許してくれドーちゃん……
三十九頁目
絶望が胸を締め付ける中、またしても振動と共にスピノが暴れている音が聞こえてきた。
見れば全身傷だらけだ……何せブロントと戦った後そのまま僕の家にやってきて木造建築を身体で無理やり破壊したのだから怪我をしないわけがない。
なのにこいつは動くもの全てに襲い掛かり、暴れることを止めようとしない……普通生き物ならば怪我をすれば傷が癒えるまで大人しくしていそうなものなのに。
いやそんなことはどうでもいい、わかるのはあいつが生きている限り僕に平穏は訪れないと言うことだけだ。
何よりあいつは僕の……俺の仲間を殺した憎むべき敵だっ!! 絶対にぶっ殺してやるっ!!
それだけが今の俺の全てだっ!! 何を差し置いてもあいつだけは俺がこの手で倒してやるっ!!
四十頁目
手元にあるものを再確認する……護身用に近くに置いてあった手製の槍と食料用のこんがり肉が4つ、そしてパチンコ。
パチンコは使い道がなさ過ぎて、いっそ朝になったら解体でもしようかと思って手元に置いていたからこそ持ち出せたのだ。
しかしこんなものではとてもスピノには敵わない……再び拠点を作りしっかりと準備しなければ。
もっと強い武器と防具を作り、罠を仕掛けよう……人間らしく知恵を使ってあいつと戦うのだ。
そのために俺は近くの木々を切り倒し、岩を削り……全てを一からやり直そう。
精神的にきついけれど、仲間への想いとスピノへの恨みを原動力にして動き続けるのだ。
四十一頁目
スピノのいる土地から、浅瀬の川を一つ挟んだ場所で改めて拠点を作り出した。
この場所はまだ動物たちの気配があるけれど、今度は巨大な蛇が出没するようになった。
距離を取って槍で何とか突き刺して倒したが、素材を採取する際に牙へ触れたら目の前が一瞬クラっと来た。
どうやらこいつは毒を持っているようだ、戦うときは十分気を付けなければ。
それでも解体してみれば美味しそうな霜降り肉が取れて……炙って食べたらもう最高だった。
しかしもう当たり前のように動物を解体して上手に素材をはぎ取れるようになってしまった。
慣れたとはいえこれも何かおかしい気がする……やはり腕についている鉱石が関わっているのだろうか?
そう思って見つめてみると、まるで肯定するかのように淡く輝いた。
前ならば不気味に思うところだが、今となってはあのスピノに対抗するいい手段として便利に利用させてもらうだけだ。
色々と考えるのは全てその後……生き残ってからで十分間に合うのだから。
【今回登場した動物】
スピノサウルス
ディロフォサウルス(エーちゃん)
ドードー(ドーちゃん)
ブロントサウルス
ティタノボア(巨大な蛇)