ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第113話

三百十一頁目

 

 カエルもサーバルちゃんもサイズが小さいために無事中へと入ることに成功した。

 後は慎重に進んで……少し息苦しくなるが、我慢しながら狭くなっている通路へと向かいそっと奥を確認する。

 するとあちこちに巨大トンボや巨大な羽アリが飛んでいて、地面にも巨大アリが無数に群れてあちこちを歩いていた。

 

 恐る恐る近づいて、カエルの舌を伸ばしてその中の一匹を倒すとそいつらは途端にこちらへと気づいて襲い掛かってきた。

 必死に撃退していくがやはり外にいる同じ奴らより硬い……のだけれど、どうもカエルの舌には虫の装甲を溶かす効果があるようだ。

 だからあんなに鋭い牙を持っているサーバルより、はるかに早く次から次へと昆虫を処理していくことができた。

 

 おかげでセメントがドンドンと溜まって行き、ついでのように虫の身体を構成しているキチン質の素材も集まってくる。

 だからむしろ美味しいとすら思いながら、時折背中に乗っている俺にも攻撃が届くからメディカルブリューを飲みながら息の続く限り戦い続けようとした。

 しかししばらくすると奥から巨大なムカデや蜘蛛までやってきて……何故かそいつらにはカエルの攻撃は効きが悪くなってしまう。

 

 おまけにそいつらの遺体からはキチン質の素材は取れるけれどカエルが頑張ってもセメントにはならない……何よりサイズがサイズだから強敵過ぎる。

 他の洞窟に居る蜘蛛やムカデより強いみたいだし、これ以上居座ってもいいことはないだろう。

 だから逃げ出そうとしたけれど、蜘蛛の糸が絡みついて動きが鈍ってしまう……こういう時、俺がすることは一つだけだった。

 

 サーバルちゃんを殿に置いて、そいつらを食い止めさせながら俺とカエルは一足先に洞窟の外へと脱出することに成功する。

 後ろからサーバルちゃんの断末魔が聞こえてくる……またしても道具のように使い捨てて……だけど俺は罪悪感より、大量に手に入ったセメントを見て安堵してしまうのだった。

 ……やはり倫理観がおかしくなっていると思う……それでもフローラのことを思えば落ち込んでなんかいられない……タフに生き抜く精神力を身に着けなければ。

 

三百十二頁目

 

 大量のセメントとキチン質の素材が揃った今、もう手に入る素材で持ってない物はない状態だと思われた。

 尤もまだ見つけてない素材があるのならば話は別だが……それこそまだ俺が探索していない場所にはあるかもしれない。 

 しかし厳しい環境ほどレアな素材が手に入るとしたら、豪雪地帯以上に人間が生き抜くのに厳しい環境など洞窟内ぐらいしか……そう思った時に少しだけ太陽が落ちて来て、空を飛んでいる俺の目に水面が反射する光が届いてきた。

 

 思わず遠くに見える海の水平線を眺めながらふと思う……そう言えば真珠は水の中に有った……つまり水の中にも素材は……もしも呼吸ができないほど深い海底にも素材があるとしたら、それこそ最も環境の厳しい……いやこれ以上考えるのは止めておこう。

 あくまでも俺の目的はフローラとの生活なのだ……別にこの島を制するとかじゃない。

 新しい素材が必要になれば行動するが、そうでないのならそんな危険なところに赴こうとする理由などないのだから。

 

 ……だけど一応覚えてはおこう……まだ探索していない未知の領域の一つとして……。




【今回名前が出た動物】

ベールゼブフォ(カエル)
サーベルタイガー(サーバルちゃん)
メガネウラ(虫)
ティタノミルマ(虫)
アースロプレウラ(巨大なムカデ)
アラネオモーフス(蜘蛛)

【今回登場した洞窟】

SwampCave(免疫の洞窟)
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