ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第123話

三百三十四頁目

 

 もう一回同じ様な敵の群れとぶつかったが、これも何とか撃退することができた。

 その際に蜘蛛の遺体からキチン質の素材が取れることが判明したのは大きな収穫だった。

 もしもここを安全に攻略できる方法が確立できれば、この豪雪地帯では今のところわかっている素材はすべて確保できることになる。

 

 やはりこの豪雪地帯へと引っ越しを検討すべきか悩みながら、もう少し奥へと進んでいく。

 その際に途中の別れ道で落とし穴が空いている場所があったが、落ちた先には逆さ向きのツララのような鋭く尖った地形が広がっている……これは落ちたらひとたまりもない。

 相変わらずの洞窟の殺意に恐怖を覚えつつも、もう少しもう少しと壁沿いに先へと進んでいくと何やら不思議な音と波打つ光のようなものが発せられているのが伝わってきた。

 

 この現象には見覚えがある……まさかこの先にはアーティファクトがあるのかっ!?

 

三百三十五頁目

 

 こんな洞窟から入ってすぐの場所にアーティファクトがあるとは信じがたく、それでも少し興奮しながら狭い通路を慎重に進んでいく。

 すると目の前に俺の身長ぐらいの一度降りたら乗り越えられなそうな段差があり、その先に……アーティファクトが光り輝いて浮かんでいた。

 前の物とは違う形をした、だけど同じぐらい幻想的な存在感を醸し出しているソレ……しかしそのすぐ傍には蝙蝠が守るかのように飛び回っている。

 

 まだこちらに気付いていないけれど、もしもこの段差を降りて近づいたら間違いなく襲われてしまう……しかもこんな飛び回れるほどの空間で空から攻撃されたら抵抗のしようがない。

 何より逃げ場を失ってしまう……アーティファクトの向こう側に別の通路が広がっているが、アレを通って戻る順路が分からない以上はそんなリスクを負うわけにはいかない。

 まるで手が届きそうな距離にあるのにアーティファクトを諦めなければいけない事実にがっかりしながらも、悔し紛れに実際に手を伸ばしてみて……本当に届きそうに感じてしまう。

 

 これは頑張れば或いは……そんなことを思いながらしゃがんだり伏せたりして必死に手を伸ばして……すると本当に届いたようで吸い付くように俺の手の中に収まるアーティファクト……多分これはこの島の管理人が意図していない回収方法だと思うけれどいいのだろうか?

 

三百三十六頁目

 

 アーティファクトを回収した際に軽い物音と俺の手の中に引っ込んだことで淡い波打つような発光が消えて、そのことで蝙蝠たちはこちらへと気づいたようだ。

 まるで不正を咎めるかのようない勢いで迫ってくる蝙蝠たちを通路に引き下がりながら必死に剣で切り捌くが、皮肉にも蜘蛛の敵が居ないために糸によるフォローがなく、その牙と足の爪で何度も攻撃されてしまう。

 それでもフローラが設計図を見ながら作ってくれた胴体部分は一切傷付かなかったけれど、蜘蛛との戦いでも攻撃を受け続けていた小手の部分が遂に破損してしまう。

 

 それでも何とか蝙蝠を倒すことはできたが、腕先には傷がかなりついていて……ほんの少しだけ眩暈もしてきた。

 まさかと思いながらも必死にメディカルブリューを飲んで傷を癒しながら出口へと向かい走り、何とか脱出に成功したがその頃には咳が出始めていた。

 これは多分、前の洞窟で掛かったあの病気と同じものだろう……まさか蝙蝠までもがこんな厄介な病気を媒介してくるとは思わなかった。

 

 とにかく必死でメディカルブリューを啜りながら、俺は蝙蝠と蜘蛛の死体から回収してあった素材を使って皮の小手を作って装備した上で簡易拠点へ戻り一休みするのだった。




【今回名前が出た動物】

アラネオモーフス(蜘蛛・ゲームオリジナル生物)
オニコニクテリス(蝙蝠)

【今回登場した洞窟】

NorthWestCave(天帝の洞窟)

【今回手に入れたアーティファクト】

天帝のアーティファクト
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