三百三十七頁目
フローラの持たせてくれたカスタムレシピを食べて体力をつけながら、とにかく安静にして病気が収まるのを待つ。
体調不良のこの状態で一人でいるのは心細いけれど、これが感染症だと知っている以上はフローラの元へ戻るわけにもいかない。
前の時を思えば半日ほどで回復するはずだ……そう信じて身体を休めるが、あの時と違って移し合っていないためか思っていたより早く回復し始めた。
だからある程度体調が治った時点で、俺はもうひと踏ん張りしようとアルケンABCと共に近くを探索して少しでも素材を集めようとして……拠点の傍に生えている草木の中に見慣れない花が生えているのに気が付いた。
近づいて回収すると、何やら独特の香りがする花だったが妙に綺麗なもので……フローラにプレゼントしたらとても似合いそうな気がする。
彼女の喜ぶ顔を想像して俺も微笑みながら、少しでも回収しようとあちこちを見て回るが以外にレアな花のようで余り数は集まらなかった。
或いは草や果実の回収に特化している動物ならもっと見つけられたかもしれないけれど……まあ何かに使えるかもわからないし、これで良しとしておこう。
そんな作業に没頭している間にあっさりと病気は抜けて行ったようで、すっかり元気になった俺は改めて今後の予定を考えるのだった。
ここで回収できる素材は回収しきった……一つを除いて……後はその一つを回収するか、諦めては止めに戻るか……。
だけど戻るにはまだ日が高くて、何よりせっかく回収できる素材を回収しないで戻るのも勿体ない気がして……沖合に見える氷の島を眺めてしまうのだった。
三百三十八頁目
結局有機ポリマーも回収しきったところで、この場を後にして山肌の拠点を目指しこの場所を後にした。
今まで沢山の動物を素材欲しさで狩っておいて、可愛いからという理由でペンギンだけ殺さない理由にはならなかったのだ。
やっぱり思うところはあるけれど、生きるためだと割り切って代わりに集まった素材を見て満足しておくことにした。
前以上に沢山の素材を回収できて、これならしばらくの間は出かけなくて良さそうだ……と思ったが、セメントだけは回収できていないことに遅れて気が付いた。
尤もその素材となるキチンはそれなりに手に入ったから、これを元に作り上げればとりあえず問題ないだろう……もしも足りなければそれこそもう一度あの毒ガス洞窟へ向かうだけだ。
そこまで考えたところで先ほど回収したアーティファクトを思い出し、俺は少しだけ優越感というか満足感に浸っていた。
あれほど危険な洞窟を既に二か所攻略して、毒ガス洞窟も生きて出入りできるようになった。
当時はあんなにも怯えて絶対に俺なんかには攻略不可能な場所だと思っていたのに……自らの成長をひしひしと感じてくる。
それもこれもフローラのサポートがあってこそだ。
彼女がいなくて一人っきりだったら洞窟の攻略以前に、挑もうとも思わなくなっていたかもしれない。
或いは今頃はもう生きる気力を失って……もしくは何かしらでヘマして命を落としていたかも……本当に彼女に会えてよかった。
これからも彼女との生活を大切にしていこう……仮に何があっても失われないように……それこそ俺の命を懸けてでも守り抜いて見せる。
【今回名前が出た動物】
アルゲンダビス(アルケンABC)
カイルクペンギン(ペンギン)