ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第126話

三百四十一頁目

 

 拠点に降り立ったところでフローラが俺に気付き、笑顔でお帰りと言ってくれた。

 その挨拶に少しだけ喜びを覚えながらも、この肉食はどうしたのか聞くと思った通りライフルを持ち上げて自分で捕まえたのだという。

 どうも詳しく話を聞いてみると、元々旋盤を作ろうと思ったのはこのライフルで打ち出せる弾丸を作りたかったかららしい。

 

 尤も実際に旋盤で作ろうとして、意外と簡単に鉄を削れることに気付いて作業机でやったほうが効率的だと判断したようだが……とにかくその際に麻酔薬を混ぜたダーツ風の麻酔弾を作り上げたのだという。

 そして何かで試そうと思ったところで、あの肉食達が拠点に襲い掛かってきたのだという。

 そう言えばフローラは肉食島から戻って以来、ずっとこの拠点から動いていない……そのせいでまた襲撃が始まっているのかもしれない。

 

 しかしあの恐竜では石の防壁は壊せそうになかったので、ペヤラちゃんを利用して近くにある落とし罠風の建物の中に落とし込んで外からライフルを打ち込んで仲間にしたのだという。

 そしてつい先ほど仲間にし終えて、拠点内に連れ込んで生肉を上げていたところで俺が戻ってきたようだ……その割に肉食達の身体にはそこまで傷が付いているようには見えなかった。

 その辺りのことを考えて設計したダーツ風の麻酔弾だからだろうか……少なくともクロスボウで麻酔矢を打ちこむよりはずっと身体を傷つけずに仲間に出来そうだ。

 

 ……このライフルと麻酔弾さえあれば、今まで仲間に出来なかった奴らも仲間に出来るんじゃないだろうか?

 

三百四十二頁目

 

 改めて持ち帰ってきた荷物と設計図をフローラに見せると、彼女はとても満足げに頷きながらどこか嬉しそうに俺にシャワーを浴びるように勧めてきた。

 だけど俺は完全に日が落ちる前に南の海岸に誰か来てないか確認しておきたくて、荷物を下ろし終えたアルケンABCと共に飛び立った。

 三匹も連れて行くのはもしも前みたいに危険な奴がいた際の護身用だ……本当はこの拠点にも残していこうかとも思っていたが、考えてみればここにはフローラの仲間にした肉食達だけでなく角の生えている肉食のカルちゃんにテリ君とトリケラと戦力は揃いすぎている。

 

 ここにいる限り、仮にあの特殊個体が現れても一体ぐらいなら返り討ちに出来るはずだ……だから俺の身の安全を最優先してアルケンABCを三匹とも連れていくことにしたのだ。

 そして何とか日が暮れる前に南の海岸に到着した俺は再度、あの男が残した拠点へと入り中に誰も居ないことを確認した。

 その際に篝火も何もないこの拠点は薄暗くなると、見つけづらいかもしれないと今更ながらに気が付いた。

 

 考えてみれば、前に会った篝火とかは俺が全部壊してしまったのだ……真夜中の真っ暗な中で感じる恐怖は俺が一番よく知っている。

 少し伸ばした自分の手先すら確認できないぐらいなのだから、この拠点だって見えるはずがない……だから俺は屋根の上に着地するとその四隅に篝火を立てて燃やしておいた。

 これなら遠くからでも目立つだろうし、この炎の輝きを見ればまず人類なら真っ先に近づいてくるはずだ……早い段階でこれに気付いていれば今朝がた見つけた犠牲者の女性も或いは……。




【今回名前が出た動物】

アロサウルス(肉食)
タペヤラ(ペヤラちゃん)
アルゲンダビス(アルケンABC)
カルノサウルス(カルちゃん)
テリジノサウルス(テリ君)
トリケラトプス

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