ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第130話

三百四十九頁目

 

 フローラと二人乗りしての空の旅は、昨夜の出来事のせいか何というかデートしているみたいな気分になってくる。

 アルケン君とタビィちゃんで別れて乗っていた時とは全然違う……前にも一度だけ二人乗りしたことがあるがその時よりずっと興奮している。

 まああの時はあの男と諍いが会ったばかりだったからというのもあるだろうが……何だろうか、この胸が苦しいぐらいドキドキしているのに心地よいと感じる感覚は。

 

 フローラもずっとはにかんだような笑顔を浮かべて俺の背中にくっついているし、何やらずっとこうして居たい気持ちになる。

 だから印をつけたマップをろくに見ることなく記憶だけを頼りに、それこそわざと遠回りするぐらいの気持ちであちこち飛び回った。

 そして取り留めのない話を繰り返す……畑の収穫量の話や、アルケー君が最近逞しくなってきて甘えなくなってきたとか、今作っている物が完成したらきっともっと暮らしやすくなるとか……。

 

 一生懸命語るフローラに何度も振り返りながら相槌を打ち、幸せそうな顔をしている彼女を見て俺もまた幸せを感じるのだ。

 しかしいつまでも果てることなく語り続けるかとも思ったが、時折彼女は俺にも話を振ってくる。

 特にまだ見たことのない北国によほど興味があるようで、素材の山であるそこにいつか自分も向かいたいというのだ。

 

 それ自体は良いのだけれど……歩く有機ポリマー君のことを思い出すと、どうしても頷きづらいのだった。

 

三百五十頁目

 

 ペンギンを思い浮かべて少しだけ口を重くなった俺を訝しむように見つめるフローラだが、ちょうどそのタイミングで大空を飛んでいるケツァを見つけて何とか話題を逸らすことに成功した。

 相変わらず雄大な大きさで悠然と空を飛ぶ姿を初めて見たフローラは感激していて……何やら今すぐ飛び移りそうでちょっと怖いぐらいだ。

 しかし前に見た時よりかなり南の方へと飛んできているようで、高度もあって既に南端の砂浜と水平線が見れているほどだ。

 

 尤も俺たちが最初に居た場所よりも東側のためか件の拠点は見えなかったが、ここもぱっと見で弱い生き物ばかりのようだ。

 それこそ肉食などラプトルとエリマキトカゲぐらいしか居なさそうで、これならば眠らせて落としても何とか守りきれるだろう。

 そこまで調べ終わってから、既に打ちたくてうずうずしていたフローラに許可を出し早速打ってもらう。

 

 果たして思っていたよりずっと簡単に眠りについたケツァはアルケン達と同じ様にゆっくりと滑空するように高度を落とすと、そのまま地面に横たわり眠りについた。

 ちょうど渓谷とでもいうのか、崖と崖に挟まれた谷のような場所に落ちたケツァを俺たちも追いかけて着陸するとアルゲンABに乗り換えてから、護衛するように近くを警戒して見て回るのだった。

 そして……果たしてこれは運命だろうか、それともやはりこの島の管理人が停滞して安定した暮らしを望んでいる俺たちを急かしているのだろうか。

 

 俺たちはすぐ近くの崖に空いた穴を……そこそこ大きな洞窟を見つけてしまうのだった。




【今回名前が出た動物】

アルゲンダビス(アルケン君・タヴィちゃん・アルケー君)
カイルクペンギン(歩く有機ポリマー君・ペンギン)
ケツァルコアトル(ケツァ)
ユタラプトル
ディロフォサウルス(エリマキトカゲ)

【今回登場した洞窟】

LowerSouthCave(狩人の洞窟)
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