三百五十一頁目
まさかこんなタイミングで新しい洞窟を見つけるとは思わなかった。
恐る恐るフローラの様子を窺うが、しかし彼女は少しばかり困ったような顔をしていた。
てっきり今すぐにでも突っ込もうと言い出すかと思ったが……そう言えば、俺が豪雪地帯の洞窟から持って帰ったアーティファクトを見ても反応するどころか逆に何も言及しなかったことを思い出す。
前はあんなにも洞窟攻略にノリノリだったのにと思って訊ねてみると、その際に病気にかかり俺の命を危険にさらしたことが気になっているようだ。
それともう一つ、洞窟の中に放置してしまったサーベルたちのことも忘れていないようで、野生の生き物ならば割り切れるけれど仲間の命をあんな風に使い捨てにはしたくないというのだ。
だから危険なこういう場所には行きたくないのだけれど、それでもこの島から脱出できるかもしれないオベリスクの起動に必要なアーティファクト自体は集めておきたい気もして複雑な心境なのだという。
その上でフローラは俺の意見を求めて来て……そんな彼女に俺は危険な場所には良い素材が見つかりやすいという仮説を語りつつ、この洞窟の広さならばアルケンABCで空を飛んだまま攻略できるのではと伝えてみた。
せっかく見つけたのだから、素材を目当てに少しでも進んで、危険そうなら即座に引き返す……その過程で可能ならアーティファクトも取って行ってはどうかと言うとフローラは確かに鉄も何ももっともっと必要になるだろうと納得したように頷くのだった。
三百五十二頁目
眠らせたケツァ君へ沢山肉を食べさせて、眠りながらもこちらにすり寄るような姿勢を見せ始めたのを確認した。
これならばもう離れても問題ないだろうと判断した俺たちは、他の生き物に襲われないよう簡易な建物と言うか壁で囲んだ檻のようなものを作り保護しておく。
そして改めて俺たちはアルケンABに乗り、Cを追従させた状態で洞窟内へと侵入した。
相変わらず中は暗くて、松明で照らさなければ……と思ったところで不意に俺たちを乗せているアルケンABが嫌々するように暴れ出した。
どうも先行きが見通せない中を飛んでいくのが恐ろしいようだ……鳥目とかそう言う問題が関わっているのかもしれない。
何とか着陸させて、そのまま歩いていく分には問題なさそうだがこれでは安全な探索などとは程遠い。
だから結局、アルケンABに乗っての攻略は諦めるしかなかった。
……しかし夜中でも平気で飛んでいたのに、幾ら狭いとはいえ洞窟の中をあれほど嫌がるのはどうにも違和感がある。
或いは鳥を利用して洞窟を探索すると簡単すぎるからそう言う仕組みを壁や天井にでも仕込んで……何て言うのは考え過ぎだろうか?
【今回名前が出た動物】
サーベルタイガー
アルゲンダビス(アルケンABC)
ケツァルコアトル