ARK とある青年の日誌   作:車馬超

135 / 1041
第135話

三百六十頁目

 

 目が覚めた時、何故かいびきが聞こえていてまだ自分が寝ているのではと一瞬訳の分からない錯覚をしてしまう。

 しかしすぐにこれが他の誰かのいびきだと知り、だけどフローラの可憐な声とは全然違うことも悟ってしまう。

 不思議に思いながらも身体を持ち上げたところで……俺は悲鳴を上げそうになった自分の口を抑え込んだ。

 

 何故ならそこには身体を丸めて眠る、凶暴そうな肉食がいたのだから。

 怯えながら下がろうとして、そこでようやく自分が何かの囲いの中に囚われていることに気が付いた。

 一体ここはと疑問に思ったところで、体中から痛みが発せられてくる。

 

 その痛みの元を見れば、何と腕や防具に歯型と思わしき傷跡が付いているではないか。

 しかもその歯形は目の前で眠るこいつと一致しているように見えて、そこで眠る前に感じた不思議な感覚を思い出した。

 恐らくあれはこいつが俺に噛みついて、どこかへ運ぼうとしたのだろう……しかし、だとしてこの場所はどこなのだろうか?

 

 何よりフローラはどうしているのかと思っているところに、壁の一部についていたドアが開く音がした。

 そして俺の想い人が姿を現したかと思うと、感極まった様子で叫びながら俺に飛びついてくるのだった。

 そんな彼女を受け止めながらもここまで思われていることに喜びと……後ろの奴が起きて襲ってこないかと不安を覚えてしまう俺なのだった。

 

三百六十一頁目

 

 改めて彼女に何が起きたのか聞いたところ、やはり俺が眠りに落ちた際に感じた浮遊感は思った通りこいつが噛みついたのが原因だったようだ。

 そのまま噛みついたまま何処かへ運ぼうとするそいつを、フローラは必死にライフルで打ちまくって眠らせたのだという。

 そして死に掛けていた俺にメディカルブリューを飲ませて傷を癒しつつ、周りの敵をレオンちゃんで倒しつつそこから回収した肉をそいつに食わせて仲間にしたという。

 

 何故すぐに脱出しなかったのかというと、眠りこけた俺を置いていくわけにはいかなかったからだそうだ。

 しかし中々目覚めない俺に対して、先にこっちの恐竜……目付きが凄かったからメガちゃんと名付けた奴が起き上がったので先ほどしたみたいに俺を咥えて運ぶよう指示を出してみたところ本当に運んでくれたのだという。

 そうして何とか外まで連れ出したところで、何故か日の光を浴びたこいつは急に動きがふらついたかと思うとその場に横になってしまったという。

 

 一応外に出た時点でアルケンABCと合流しているから移動しようと思えば出来る状態だったが、意識のない俺を山肌の拠点まで運搬しようとして万が一にも落としたらと思ったらとても怖くてできなかったようだ。

 だからこの場所に簡易拠点を作りつつ、連れ出してくれたメガちゃんの安全も確保しようとこうして囲った……ところでようやく俺が目を覚ましたらしい。

 

 そう説明している間も俺に縋りついて泣き続けているフローラに、お礼を言って落ち着くよう背中を撫でてあげた。

 本当にこの子は恩人だ……こんな子を泣かせてしまって申し訳なく思ってしまう。

 結局洞窟には金属鉱石や水晶と言った見慣れた資源しかなかったことだし、もうこの子を悲しませないためにも洞窟へ挑むのは止めた方がいいかもしれない。




【今回名前が出た動物】

メガロサウルス(眠っている凶暴そうな肉食・メガちゃん)
ティラコレオ(レオンちゃん)
アルゲンダビス(アルケンABC)

【現在所有しているアーティファクト】

暴食のアーティファクト
天帝のアーティファクト
狩人のアーティファクト(NEW)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。