ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第139話

三百六十八頁目

 

 改めて空を飛び南の端まで飛んで、目に見えない壁を確認するとオウ・ホウは明らかに取り乱した様子だった。

 その上でこのような妖術がまだ残っていたのかと騒ぎ、弓矢で打ったりどこに隠し持っていたのか手作りの槍で攻撃したりしていたがその程度で壊れるはずがなかった。

 そしてどうしても出れないと分かると露骨に肩を落とし、何とか将軍に何度も謝罪して涙すら零すのだ。

 

 こっちまで居たたまれなくなりそうだが、このまま放っておくわけにもいかず何よりアルケン達のスタミナが尽きそうなので一旦陸地に戻ることにした。

 その際に追従させているケツァは、人が乗っていないことを考えても驚くほどスタミナが保たれているように見えた。

 やはりこいつを乗りこなせばかなり便利そうだ……尤も移動速度はアルケン以下で最遅とでもいうべきものだが、まあ大した問題ではないだろう。

 

三百六十九頁目

 

 改めてこの男が使っている拠点に戻ったあたりで、ちょうど日が落ちて夜中になってしまった。

 予想以上にオウ・ホウへの説明と、彼が見えない壁と格闘している時間が長かった証拠だろう。

 とにかく今日のところは帰ると告げると、彼は意気消沈しながらもどこへ行くのか尋ねてくる。

 

 しかし俺たちは申し訳ないと口にして、その上で前に来た男のことをざっと説明して警戒させてほしいと告げた。

 するとすぐに理解してくれたようで、何よりも仲睦まじい夫婦の家にお邪魔をするのは失礼だなと謝罪してくれた。

 そんな新居みたいな言われ方をするとあの拠点に戻るのが恥ずかしくなってくるのだが……とにかくまた明日会いに来ると約束した上で俺たちは別れを告げた。

 

 そして山肌の拠点を目指して飛んでいく……あの場所は木々の薄い場所だし、何より燃え移らない石づくりの拠点の上に大量の篝火と製錬炉が目立っているから闇夜でも目立って見えて迷うことはなかった。

 そうして帰り着いた俺たちは、どちらからともなくシャワーを浴びようと言い出して……また二人揃って……と思ったら少し大きくなったアルケー君が飛び出してきた。

 流石に半日以上離れていたから心細くなったようでフローラにくっついて離れない……仕方ないから俺は一人でお風呂に入る羽目になった……畜生……。

 

三百七十頁目

 

 洞窟の疲れが残っていたのか、俺もフローラもお風呂から上がるなりあっさりと眠りについてしまった。

 それでも朝が来ればはっきりと目が覚める……原始的だけれど活動的で健康的な生活を送っているからだろうか。

 とにかく目が覚めたところで、ペイントブラシを改良してフローラが作ってくれた歯ブラシで歯を磨き石鹸で顔を洗いつつ食堂へ向かう。

 

 そしてフローラが作ってくれた食事に舌鼓していると、フローラが寝癖が付いていると笑って指摘してきた。

 言われて抑えてみると確かに寝癖で髪の毛がアンテナのように立ち上がっていて……その際に髪の毛が結構伸びてきたと今更ながらに気が付いた。

 しかし切ろうにもハサミも鏡も無いのに……と思ったらフローラが当たり前のようにハサミを取り出してきた。

 

 一体いつの間にと疑問に思っていると、どうも俺が雪山から持ってきた素材を利用して何かの作業の片手間に作っていたようだ。

 そしてとてもいい笑顔で俺を見ると、拠点の外に椅子と共に俺を連れ出し座らせて……楽しそうに髪の毛を弄り始めるのだった。

 果たしてどんな髪型になったのか、鏡を作れなかったために自分ではわからないが……まあフローラが嬉しそうに頷いているから良しとしよう。

 

 ……代わりに俺がフローラの髪の毛を切ってあげようか提案したら、物凄い勢いで首を左右に振って見せてきた……本当に変な髪型になってないと良いけれど……うぅ……。




【今回名前が出た動物】

アルゲンダビス(アルケン達・アルケー君)
ケツァルコアトル
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