四十八頁目
ついに川を渡ってきたスピノ、至近距離で見るその巨体は想像以上に大きく見える。
しかしもう覚悟はできている、殺すか殺されるか……勝負の時だっ!!
予定通り罠の内側から矢で射貫いてやると、こちらを認識して一気に襲い掛かりに来た。
そして目論見通り建物の内部に閉じ込められたスピノを俺はひたすら外から射抜き続けた。
この日の為に矢は三百本以上用意してあるし、替えの弓も準備済みだ。
後はあの建物が壊されるか、俺が居殺すかの勝負だ。
何本も全身を射抜かれ、ハリネズミのようになりながらも抵抗を止めないスピノ。
おかげで建物の土台がミシミシと言い始めたが、奴の全身も流れ出る血液で真っ赤に染まっている。
この調子でやれば勝てる、そう思った時……不意にスピノは悲痛な悲鳴を上げてその場に崩れ落ちた。
何が起きているのかわからず、とりあえず俺は矢を打ち続けたけれどまったく反応が返ってこない。
日が暮れるころになっても変わらない現状に、ひょっとしたらと思った俺が近づいてみてもそれは変わらなかった。
そして顔の方に回って呼吸を確認して……奴が息をしていないことにようやく気が付いた。
倒したのか……やった……やったぞ……やったんだっ!!
見ててくれたかドーちゃんっ!! 君たちの敵は取ったぞドーちゃんっ!!
四十九頁目
巨体だけあって倒したスピノからは大量の皮と霜降り肉がとれた。
しかし皮はともかくせっかくの霜降り肉だが保存する手段が乏しいため、簡単に腐ってしまうだろう。
だから俺はそれらを炙りながらささやかながら俺はパーティを開くことにした。
ドーちゃんとエーちゃんにお供えしつつ片っ端からかぶりつく。
仲間にも分けてあげたいけれど、今のところ全員草食しかいないので代わりに果実を大量に食べさせておこう。
今回は手を借りなかったが、これから先はこの子達の力を借りる場面も増えるだろう。
尤も今は何をすべきなのか、これからどうすべきなのかは全く思い浮かばない。
それでも眼前にある最大の脅威であり目標であるスピノを倒したのだ。
今日の所は……いや今だけは何も考えず浮かれていてもいいだろう。
五十頁目
一通り騒いだところで夜の帳が降りてきた。
前の拠点ほどではないが篝火を焚いているため、真っ暗闇ではない。
それでもやはり夜は恐ろしいものだ……前の一件がトラウマになっているせいもありなかなか寝付けない。
今にもあの闇の中からスピノやそれに相当した巨大生物が襲ってこないとも限らないのだ。
だからと言って夜更かしするわけにもいかない、夜目が利かない以上出来ることは限られているのだから時間の無駄になってしまう。
何より今回は大声を出せるパロロ君が警戒してくれているから、もう寝過ごす心配はないだろう。
あの時もこの子さえ仲間にいてくれれば……いや、もう過ぎたことを考えるのは止めよう。
しかしあの時の拠点は完全に潰されてしまったのだろうか?
スピノも倒したことだし、朝になったら前の拠点跡地に戻って使えそうなものを回収してくるのもいいかもしれない。
【今回登場した動物】
スピノサウルス
ドードー(ドーちゃん)
ディロフォサウルス(エリマキトカゲ・エーちゃん)
パラサウロロフス(パロロ君)