三百七十三頁目
一夜明けて頭が冷えたのか、彼は別れ際の落ち込みが嘘のようにあっさりした様子でこれからのことについて相談を持ち掛けてきた。
やはり生き死にが直接絡む世界で生きてきたからか、思考の切り替えが早い……俺やフローラではこうはいかなかった。
そんな彼の態度に頼もしさを感じつつ、俺は改めて昨日の続きとばかりに俺が知っている情報を話して伝える。
相変わらず古代人である彼には理解できないことが多いが、それでもあの目に見えない壁の一件から俺たちの情報を信頼してくれているのか向こうも意欲的に根気強く聞いてくれた。
おかげで何とかオベリスクとアーティファクト、そしてそれに伴う考察を聞いてもらえて……彼はそこにこの島からの脱出についての希望を抱いたようだ。
確かにワープ……離れた場所へ移動する技術を思い通りに使えるようになれば、問題なく彼の居た土地へ帰りつけるとは思うけれど……それでも問題はタイムマシンでもなければ彼を知る人物の元へは帰れないことだろう。
尤もひょっとしたら某ネコ型ロボットの出てくる国民的漫画的なタイムマシンが……俺たちを連れてきたところへピンポイントで繋がっている可能性は無きにしも非ずなのだが……。
とにかくそう言うわけで彼は洞窟の攻略には意欲的であり、もしも可能ならば自分も協力させてほしいと申し出てくるのだった。
俺たちが幾ら危険だと言ってもそれぐらいは承知の上だと断言する彼は本当に頼もしく見える。
尤もこちらとしてはもうそこまで洞窟攻略に意欲的ではなくなりかけているのだが……俺もフローラも、どんな宝と引き換えだろうがお互いを失うほうが辛いと思っているのだから。
そんな消極的な俺たちを見てオウ・ホウさんは、むしろ良く分かると言わんばかりに頷くと支援だけでもしてもらえれば自分だけで向かっても良いという。
とりあえず今すぐ結論を出すのは控えた上で、少しだけ考えさせてほしいと言いつつ一応洞窟の場所だけは教えておくことにした。
三百七十四頁目
今までに見つけた洞窟は七カ所あるが、そのうち三つは攻略済みだった。
そしてオベリスクに空いていた穴は合計で十カ所……つまり見つけていない洞窟が後三つはある計算になる。
今のところ洞窟に挑む気がない俺たちだが、それでもオウ・ホウさんのように後から来た人たちがやる気を出す可能性も考えて、全ての場所を見つけておくぐらいしたほうがいいだろう。
自作のマップを取り出すとまだ探索していないエリアが北部の中央から北東あたりに残っているが、他の場所も空から大雑把に地形を確認しただけで細かく見て回ったわけではない。
それこそ前回偶然ケツァが落ちたところにあった洞窟のように、既知の場所に洞窟が隠れている可能性は十分にある。
とにかく少しずつ探索していこう……新しい素材が見つかるかもしれないし。
そうして説明を済ませると、オウ・ホウさんは攻略の参考にしたいからと知っている限りの洞窟の内情を詳しく訊ねてくるのだった。
尤も俺たちが攻略できていないうえで入ったことのある洞窟は二つしかない……毒ガスと無数の虫が湧く危険な洞窟と、マグマの流れるやっぱり危険な洞窟だ。
とても生身で、それも単独で攻略できる場所ではないと告げると彼は納得したように頷きつつ俺にもう一つだけあることを訊ねてくるのだった。
それは動物をどのようにして手懐けているか……戦力をどのように補充しているかについてだった。
【洞窟の発見率及びアーティファクトの回収率】
発見済みの洞窟
SwampCave(免疫の洞窟・未回収・入った経験あり)
SnowCave(強者の洞窟・未回収・入った経験なし)
CentralCave(賢者の洞窟・未回収・入った経験なし)
SouthEastCave(大物の洞窟・未回収・入った経験あり)
NorthEastCave(暴食の洞窟・回収済み)
NorthWestCave(天帝の洞窟・回収済み)
LowerSouthCave(狩人の洞窟・回収済み)
未発見の洞窟
UpperSouthCave(群衆の洞窟)
CavernsOfLost Hope(狡猾の洞窟)
CavernsOfLostFaith(野獣の洞窟)
???
火山の中にある不思議な扉