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武力において俺たちが彼に勝っている点は動物と言う仲間の有無であり、もしもこれを覆された状態で敵対されたら勝ち目はないだろう。
それでも俺たちはあえて素直にやり方を教えることにした。
この短期間の付き合いとは言え、こちらの目をまっすぐ見つめて……俺たちの関係を微笑ましく見つめてくれている彼が悪い人には思えなかったからだ。
何よりこの島の動物を仲間にする方法はそう難しいことではない……仮に俺たちが教えなかったとしても、何かの弾みで気づいてしまうことだろう。
そう考えればわざわざ秘匿して彼の不信を買う必要はないと判断したのだ。
だからやり方を説明しつつ実際に何かの生き物で試そうとして……そこで彼はちょうど大空を飛んでいたプテラノドンを指し示し、あれに乗って空を飛べるのか尋ねてきた。
体力が少ないし力が弱いから移動手段としては頼りないけれど飛ぶことはできるというと、彼はどこかからボーラを取り出すと大きく振りかぶり投げつけて……見事にプテラを落として見せた。
着地している所ではなくて空を飛んでいるところにこんなものを投げて当てて見せるなんて……やはりこの人は色々と規格外だ。
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あっさりとプテラを仲間にした彼だが、そこで背中に乗るためのサドルを作ろうとして……これもあっさりと作り上げてしまう。
どうも戦地にて馬を乗りこなすための鞍を即興で作ったことが何度かあるようだ。
尤も左手の鉱石を確認して作り上げたそれの形は俺たちが作ったものとよく似ていた……彼自身も俺たちが話していたとはいえ、自分の頭に作ったことのないはずの物の作り方が思い浮かぶことには困惑していた。
それでもすぐに彼は割り切ると早速乗り回して近くを飛んだかと思うと、このまま俺たちの説明した洞窟の場所を確認して回るというのだ。
そして俺たちが入ったことのない洞窟も軽く中を覗いてみて、どう対策するか考えるというのだ。
その上で彼は攻略計画を立てておくから、もしも時間があってやる気が出てきたらここに顔を出してほしいというのだった。
物凄いやる気に俺たちが気圧されている間にも彼は早速その場を飛び立って行った。
……あんな軽装で大丈夫だろうかと心配ではあるが、俺たちよりずっと戦闘経験のある彼ならば無茶はしないだろう……多分。
その別れ際、彼は俺とすれ違いざまに耳元でフローラに聞こえないようにひそやかな声で……何をしでかしたのかは知らぬが、女子の機嫌は損ねぬ方が良いぞと俺の頭へ視線を投げかけつつ忠告するように囁くのだった。
どうやら彼からすれば俺は罰のような髪型をしているようだ……時代による価値観の違いがあるから何とも言えないけれど……俺はどんな髪型をしているのだろうか?
【今回名前が出た動物】
プテラノドン