ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第143話

三百七十七頁目

 

 オウ・ホウさんが飛び立ったことでこの場にいる意味を失った俺たちは一度山肌の拠点へと戻ることにした。

 そして改めて互いの仕事をしようとして……外から凄まじい咆哮が聞こえてくるのを察知した。

 果たして様子を見に出てみると前にフローラが仲間にした群れで動く肉食とティラノが共にこの拠点へと向かって来ている所だった。

 

 恐らくは一カ所に留まり過ぎたがための襲撃だろうが、彼らの力でも石の壁を超えることは出来なそうだ。

 とにかくその事実に安堵しつつ、こいつらを迎撃しようとしたところでフローラが目を輝かせて俺を引き留めた。

 どうやら肉食島でティラノを乗り回した際のことを覚えているようで、この場所にも確保しておきたいという。

 

 確かに戦力の補強と言う意味ではこいつに勝る奴はそうそういないだろう……それこそ前に肉食島に行く前に見た、あの超巨大な肉食ぐらいだ。

 だからこそ仲間にしておくべきだという意見は尤もで、早速俺は近くにあるスロープのついている捕獲用住居へこいつらを誘導していくのだった。

 

三百七十八頁目

 

 複数肉食がいることで少しだけ面倒ではあったが、巨大な肉食同士は危険性を察知しているのか、狭い空間に閉じ込めても余り争おうとしなかった。

 おかげで全員纏めて麻酔矢と麻酔弾で打ち抜いて眠らせることに成功した。

 あとは餌をあげて仲間にするだけだが、ティラノと群れの肉食の合計で四匹もの奴を同時に仲間にしようとするのは初めてだ。

 

 だから万が一にも餌やりの不足で襲われる危険性や、この場所への襲撃の追加が起こる可能性を考えて餌やりは俺だけでやることにした。

 尤もこんなことを正直に言ったらフローラは離れないだろうから、彼女には効率を重視しての分業をしようと言い、一足先に家の中の作業に取り掛かって貰った。

 言われるままに安全な壁に囲まれた住居の中へ戻るフローラを見送ってから、改めて気を抜かないようにこいつらの面倒を見ながら周囲を見回していく。

 

 その際に近くの樹に蜂が巣を作っているのを見つけた……そう言えば前に熊を仲間にしたが、あいつなら巣から蜂蜜を奪えるのではないだろうか?

 

三百七十九頁目

 

 肉食達が起き上がるまでの時間を利用して、熊を呼び寄せて指示を出してハチの巣を攻撃させるとすぐに働き蜂が飛び出した……かと思えば熊には攻撃せずウロウロと周囲を飛び回っている。

 思った通りあの熊には蜂では手も足も出ないようだ……そして熊は巣を壊さない程度に痛めつけながら蜂蜜を回収して戻ってきた。

 とろりとした蜂蜜は見ているだけで甘みが伝わってくるようで、思わず生唾を飲みながら舐めようとして……前にフローラが有機ポリマーを舐めてえらい目に合ったと言っていたことを思い出した。

 

 ここでは体調管理に気を配る必要がある……幾ら美味しそうだからと言って、不用意に舐めるのは危険すぎる。

 だからその甘みを感じたいのをぐっとこらえて、俺は別の動物で実験してからにしようと蜂蜜を持たせたまま熊を居住区へと戻らせた。

 その上で肉食達を仲間にし終えたら……と、思っていたところへアルケー君と共にフローラが居住区から顔を出していた。

 

 どうやら外で焼いている金属のインゴットを回収しに来たようだが、そこで熊の持っている蜂蜜に気付き、俺に大声でこの入手に付いて確認したかと思うと……あっさりと指先で掬って舐めとり始めた。

 そして物凄く幸せそうな笑顔になったかと思うと、美味しい美味しいと久しぶりの甘みを存分に堪能し始めてしまった。

 ……せっかく俺が警戒していたというのに……我慢したのに……うぅ……美味しそうに食べるなぁ……俺の分が残っていればいいけれど……ぐすん……ズルいよフローラぁ……




【今回名前が出た動物】

アロサウルス(群れで動く肉食)
ティラノサウルス
ショートフェイスベア(熊)
イキオオミツバチ(蜂)
アルゲンダビス(アルケー君)
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