三百八十二頁目
とにかく真っ直ぐ北上しようと思い、また洞窟を探す関係上ゆっくりと地形の様子を確認しながら進むことにする。
最近は火山を目指して一直線に進んでしまっていたから忘れかけていたがその麓には川が流れている。
前はもう少し西側で下流の方だったが、確かあの時飛び越えた際にはスピノか何かが暴れていて大変だったことを思い出す。
果たしてここはどうなのかと思っていると、少し離れたところでカルちゃんの同種が暴れているのを見かけた。
ただこいつは現在襲っている奴が妙に足が速いからそのせいでどんどんとこの場を離れていくところだった。
これなら無視していいかと思ったが、何気なくそいつが追いかけている奴を観察したらどうやら今まで見たことのない奴だったようだ。
全体的なフォルムこそパロロ君に似ているが頭の形はあれほど奇抜ではなくむしろ小さめで、何よりも異様に足が速いのだ。
しかも何か見覚えがありそうで、多分某恐竜映画に出てきた奴だとは思うのだが……良く思い出せないうちに何処かへと走り去って行ってしまった。
せっかくの新種だからその能力を確かめておきたかったのだが、まあ諦めるしかないだろう。
三百八十三頁目
改めて川岸へと視線を戻した俺は、また見覚えのない形をしている生き物を見つけた。
ノソノソと歩く背中に甲羅を背負ったようなそいつは、まさしくアルマジロとでもいうべき生き物に見えた。
尤もそのサイズは俺の胸元ぐらいまであって……それでもこの島では小柄な方であろうが、やはり絶滅動物だと思われた。
チラリと周りを見回して、敵らしいのが居ないことから一応仲間にしておこうと麻酔矢を構えて打ち放つとこいつはせかせかと足を動かして反撃しようとしてくる。
しかし余りにも遅すぎて、下がりながら余裕で麻酔矢で打ち抜くことが出来て……しかし眠る前に丸くなって甲羅に包まれたまま動かなくなってしまう。
この状態では麻酔矢はろくに刺さらず、おまけに丸まってるから口元に餌を運ぶこともできない……どうやら仲間にし損ねたようだ。
尤も今仲間にしても連れ歩く方法がないのだけれど……だから余り拘ることなく、俺はそいつを放置して改めてこの場を飛び去ろうとして……パシャパシャと何かが川を泳ぐ音が聞こえてきた。
反射的にそっちを見た俺は……物凄く可愛らしい生き物に目を奪われてしまう。
細長くイタチにも似たフォルムで器用に水の中を泳ぎ、一生懸命に魚を捕まえようとしているその生き物は……息継ぎするように首を水上に持ち上げて周りを見渡し……そのつぶらな目でこちらを見つめて小首をかしげる生き物は……本当にキュートだった。
だから反射的にフラフラ近づこうとして……それでも敵意の欠片も見られない姿に安堵しつつ、その膝にとどかないぐらいの本当に小さな身体に手を伸ばしても抵抗しようともしなかった。
……この大きさなら仲間にしても腕とかに抱いて連れ歩けるのでは……是非とも仲間にしたいが、麻酔矢で打ったりしたらまたペンギンの時のように殺してしまうような気が……何かいい方法があればいいのだけれど。
【今回登場した動物】
スピノサウルス
カルノタウルス(カルちゃんの同種)
ガリミムス(パロロ君に似たフォルムの新種)
ドエディクルス(アルマジロ)
カワウソ(イタチに似たフォルムで魚を捕まえている生き物)
カイルクペンギン(ペンギン)