三百八十七頁目
もうあの場所に用はないのだけれどせっかくここまで来たのだから残してきた生き物の様子だけでも軽く見てこようと思った。
そして相変わらずあちこちで争いまくっている肉食達の姿に呆れつつも、その中に混じって楽しそうにしている俺たちの仲間のティラノを見つけてしまう。
この調子ならば放置し続けても元気にやって行けるだろうと思いながらも、こちらに気付いて嬉しそうに近づいてくる二頭の様子を見ていたら少しだけ懐かしくなって乗り回したくなってしまう。
だから一旦、自分たちで作ってきた拠点に飛行生物たちを保護してから乗り換えようとして向かったところで……そのすぐそばに幾つか卵が落ちているのを見つけてしまう。
しかも触れると一つだけ特別な感じのする奴があって……振り返るとティラノ達が何やら妙に愛おしそうな目で見つめているではないか。
考えてみればこの場所はこの二頭に待機命令を出した場所だ……多分休む時は律儀にここへ戻って来て共に時間を過ごし……どうも雄雌の関係だったことから自然と関係をもって……と言うことなのだろう。
色々と思うところはあるが、とにかく卵だけ回収して持ち帰ることにした。
何故なら普通に置いておいても孵化しそうには見えなかった、どころか段々弱まっていくように思われたからだ。
どうやらこの場所は温度が合っていないようだ……いや、そもそも生き物を作り出しているこの島では普通の繁殖は認められていないのかもしれない。
そうでなければいくら環境が変だとは言えタヴィちゃんの時もそうだが、産み落とした卵を親が温めるだけで孵化させれないのは異常過ぎるからだ。
或いは下手に増えられると管理しきれなくなるからその為の対策かもしれないが、こちらとしてはティラノを孵化させることで戦力が増えることはありがた過ぎる。
そしてティラノもこのままでは駄目だと分かっていたのか、抵抗することなく俺に卵を預けてくれるのだった。
三百八十八頁目
流石にティラノを乗り回す気にはなれず、何より卵を割らないためにもさっさとこんな危険な島から離れようと飛び立った俺たち。
そのまま地図とコンパスを頼りにまっすぐ山肌の拠点を目指そうとしたが、その道中にある山を見て前にあそこで超巨大な肉食を目の当たりにしたことを思い出した。
あんな生き物にもしも襲われたら勝ち目などない……万が一にも戦闘を避けようと俺は来た道を逆に辿る様にして帰ることにした。
だからまずまっすぐ西へと戻り……その途中で空から黄色い光に包まれたカプセルが降りてくるのを見かけてしまう。
少し考えたが何かいい物が手に入るかもしれないと判断して、慎重に俺も一緒に高度を下ろしていく。
すると降りた地点には丁度小さな湖があることに気が付いた。
これは確か前……それこそフローラと出会う前に近くの山から観察したことのある湖だろう。
後でこの場所を調べようと思っておいて、だけど色々と衝撃的な事態が目白押していたがためにすっかり忘れていた。
せっかくこうして降り立ったのだからちょっとだけ調べてみようかと思った俺だが、その浅い湖の中に人工物と思わしき物を見つけて驚いてしまう。
それは俺の身長ほどの高さしかないけれど、複数の木材を重ね合わせて作られた超小型の居住空間のように見えたのだ。
【今回名前が出た動物】
ティラノサウルス
アルゲンダビス(タヴィちゃん)
ギガノトサウルス(超巨大な肉食)