三百八十九頁目
浅い湖に立ち入り人間に対しては小さすぎる居住スペースを確認するが、恐らくこれは人よりもっと小さい何かが住むための……或いは物を蓄えておくための場所に思われた。
それでもこんな器用に木材を利用して物を作れる生き物が人以外にいるとは思えなくて、ついつい中を覗きたくなってしまった。
だからそっと隙間をかき分けるように広げて中を覗いて……本当に何やら色んなものが貯蔵されていることがわかった。
ある程度加工されて使いやすい形になっている木材にセメントと思しき物が大量に……またそれらの素材にくっつくようにほんの少量だけれど真珠とあのレアな花に、見たことのないキノコまで存在していた。
このキノコが食べられるのか、また何かの素材として利用できるのかはわからないけれどこうして貯えてあるということは有益な物体なのではと思われて一応覚えておくことにした。
しかしこんな風に使える素材を選んで貯えておけるだなんてやっぱり人以外に出来るとは思えず、近くに子供のような生存者がいるのではと顔を上げて周りを見回して……こちらに怒りの形相で突っ込んでくる中型の生物を見つけてしまう。
妙に発達した前歯と内輪のように広がる尻尾が特徴的なそいつは、何かの創作物で見たビーバーと呼ばれる生き物にそっくりなように見えるのだった……大きさ以外はだが。
ビーバーと言えばダムを作ることで有名だった……ひょっとしてこれはこいつが作ったものなのだろうか?
三百九十頁目
どうやら本当にこの貯蔵庫……或いはダムのつもりなのかもしれないが、それはこのビーバーが作った物のようだ。
だからそれに手を触れていた俺を自分の物に手を付けた敵だと判断して果敢に攻撃しようと迫ってきた。
慌てて近くに待機させていたケツァ君に乗って飛びあがるが、見れば他にも近くに居たらしいビーバーたちが一斉に俺たちの足元に集い空に浮かんでいる俺たちを恨めしそうに睨みつけている。
悪い事をしたと思いつつもこのままでは再度着地することもできなそうで困ってしまう。
尤もまっすぐ帰ればいいだけなのだが、傍に降りてきた黄色のカプセルと、先ほど見た素材の山が頭から離れない。
これから先素材はいくらあっても足りない……セメントの山……カエルを失った今、あれは物凄く魅力的だ。
何とかして手に入れたいものだが、そしてできればあれらの素材を集められるビーバー達も傷つけたくはない……どうしたものか……
【今回名前が出た動物】
カストロイデス(ビーバー)
ケツァルコアトル(ケツァ君)
ベールゼブフォ(カエル)