四百三頁目
またしても幸せな……それでいて色々と堪えるのが大変だった時間を過ごしながら眠りについた俺たちは今日もまた無事に朝を迎えた。
いつも通り朝食を取り身だしなみを整えたところで早速本日の予定を……決める前にもうフローラはオウ・ホウさんのところへ行く気満々のようで既にアルケンAに乗ってしまっていた。
その首元には当たり前のようにカワちゃんが巻き付いていて、ついでに何かアルケンABCに色々持たせてあるみたいだ。
そして俺にはペヤラちゃんに乗る様指示を出しながらその場を飛び立っていき、そんな彼女に言われるままについて行った。
そうしてあっさりと南の海岸へ到着すると、あの建物の近くでオウ・ホウさんが焚火で何かの肉を焼いて仲間のプテラと朝食を取っているところを目の当たりにした。
早速声を掛けると彼は待っていたとばかりに駆け寄り、特にフローラへ家を占拠している女性のことを頼みたいと言ってきた。
何でもあの後、食事を持てと命令されて放っておくわけにもいかず果実とこんがり肉を提供したのだがそんな野蛮な食事は食べられぬと突っぱねられてしまい困っていたのだという。
おまけにその際に俺がプレゼントした蜂蜜は甘い食べ物だからかおやつ代わりに奪われてしまったらしい……良くここまでされて怒り狂わなかったものだ。
そんなオウ・ホウさんにフローラは同情するような目を向けたかと思うと、こっちは任せてと自信満々に自分の胸を叩いて見せるのだった。
四百四頁目
フローラにメアリーのことを任せて安心した様子のオウ・ホウさんは、早速また洞窟の下調べをしようと飛び立とうとした。
しかしフローラがプレゼントもあるし、調べてきたことも聞きたいから一旦家の中でその女性も交えて話し合おうと提案すると、それ自体いは構わないけれどと言いつつ、複雑そうな視線を近くにある家に向ける。
どうやらよほどあの女性に迷惑を掛けられて苦手意識が湧きたっているようだ……それでもフローラが何とかすると断言したので結局は皆で家に向かっていくことになった。
果たして家の中に入ったところでまたしても枕が投げつけられて、誰の許可を得て入ってきているのだと騒がれてしまう。
そんな見た目だけは成人したばかりであろうメアリーに、まだ幼さの残るフローラは落ち着くよう呟きながら近づいて行った。
自身に近い見た目の女性がやってきたことで、彼女は少しだけ戸惑いつつも俺達よりはずっと柔らかい口調で……それでも高圧的に色々と問いかけてきた。
何がどうなっているのかとかフローラの名前や地位に出身地を訊ね、更に俺たちを指し示してあの躾の鳴っていない輩はお前の僕なのかと聞いてみたり……そんなメアリーに向かいフローラはとにかく落ち着くように繰り返しつつ……布に色付けして拵えてある衣服を差し出すのだった。
そう言えば彼女は未だに全裸であり、そのちょっと色々と成長しきっている身体を毛布で強引に隠しているだけであった。
余りに高圧的な態度に閉口して、そんな目で見る気にもならなかったから見落としていたが、考えてみればあんな性格をしている彼女が自分で素材を探して衣服を作れるはずがないではないか。
だからフローラの差し出した衣服に最初こそこのような貧相な洋服などと文句を言いまくっていたが、結局は俺達に外に出て居ろと叫びしぶしぶと着始めた様子だった。
そして少しして何故か冷たい声を出すフローラに呼ばれて室内に戻った俺たちは……無駄に胸が強調され臍が丸出しになっているメアリーの姿を目の当たりにした。
何度も窮屈だとか、もっと大きく作った物を持って来いと騒ぐメアリーを恐らく自らの身体をモデルにして衣服を作り上げたであろうフローラはとても恐ろしい笑みを浮かべながら彼女を睨みつけるのであった。
……尤も時折俺に対して様子をうかがうようにチラチラ視線を向けてくるあたりは可愛らしいのだが……そんな身体つきの違いなど気にならないのだが……だからそんな目でこっちを見つめないでください。
【今回名前が出た動物】
アルゲンダビス(アルケンABC)
カワウソ(カワちゃん)
タペヤラ(ペヤラちゃん)
プテラノドン