四百二十一頁目
アルケンAで掴み上げて捕獲用の罠へ放り込み、外から麻酔矢で打つことであっさりとこの豚は眠りについた。
そして食糧を与え始めたのだが……恐ろしいまでの勢いで生肉をバクバクと食べて行った。
その間も口元からは淡い輝きが漏れていて、少しだけ不思議な匂いが漂っている。
傷を治す細かい原理は良く分からないが、これはひょっとして体内で微生物やらウイルスやらを精製して呼吸と共に外へ放っているのではないだろうか?
そしてその放出されたウイルスや微生物は栄養を求めて血液が流れ出ている面に付着して、それを栄養に変えつつ外気に触れなくて済むように傷口を治療して生物の体内に残ろうとしているのではないかと勝手な推測をしてみた。
恐らくそんな微生物やウイルスを精製するのに物凄く体力を使うためにこれだけ食糧を消費するのだろう。
考えてみればこの島の環境にある素材を使えば、俺たち人間の傷を異常な速度で回復させるメディカルブリューを作れるのだから同じ島にある食材を食べているこいつらが似たような能力を使うことが出来ても不思議ではない。
尤も傷口の治療が分かりやすいように発光したりする面も合わせて、こんな都合のいい能力が天然自然な進化の果てに生まれるとは思えないから、これもこの島の管理人が何かの意図を持って付加させた性質のはずだ。
本当にこの島の管理人は何を考えているのだろうか……絶滅動物の保護区や動物園ぐらいのつもりなら洞窟を含めてこんなことをする理由がないではないか。
その意図の分からなさが不気味でならないが……とにかく今はそんなことに悩むよりも、一匹でも多く役に立つ仲間を集めよう。
四百二十二頁目
あれからも捕獲を続けた俺は、豚を三匹に狼を四匹仲間にすることに成功した。
思った通り豚は仲間にしてからはこちらの指示で周りの生き物を回復する吐息を放ってくれるが、その間は目に見えるほどの勢いでガリガリに痩せて行ってしまう。
そしてある程度やせ細るともう無理とばかりに治療を止めてしまうのだ……これは沢山生肉を持たせて常日頃からお腹いっぱいにしておく必要がありそうだ。
問題はその肉の回収なのだが……また今度肉食島にでも行って、ティラノが狩って食べきれずに放置している生肉でも定期的に回収して冷蔵庫にでも保管しておくべきだろう。
狼の方はこちらは人がギリギリ乗れる程度の大きさだけれど、サドル無しでも乗り回すことが出来るほど動きが安定していた。
おまけに同種が集まると一番強いリーダーの指示に従い、的確な動きで狩りを行えるようになり戦闘能力がぐんと増すことも分かった。
これなら使い潰すことを前提に考えれば洞窟攻略にはうってつけなように思えるが……良心が痛まなくはないけれど、今更だ。
だからとにかく数を集めようと思うけれど、運搬の時間も考えればそろそろ移動を開始したほうがいいように思える。
一応周りにある原油や真珠……有機ポリマーも回収しつつ俺はまず豚を掴んでこの場を離れるのであった。
【今回名前が出た動物】
アルゲンダビス(アルケンA)
ダエオドン(豚)
ダイアウルフ(狼)
ティラノサウルス