四百二十三頁目
改めて洞窟の前に戻った俺は、オウ・ホウさんが身体の細長いワニを連れて戻ってくるところに出会った。
何でも麓にある川を下流から上流までさかのぼっていく最中で見つけて捕獲してきたそうだ。
このワニを含めて角の生えてるカルちゃんの同種の肉食に熊、そして俺の捕まえてきた豚とこれから連れてくる狼を合わせればもう攻略には十分すぎるほどの戦力が揃った気がする。
尤もオウ・ホウさん曰く、彼はまだ鉄資源の回収を行えていないから一部動物のサドルを作るのが困難だと言いその準備を頼みたいと申し出てきた。
もちろん頷きながら必要な動物のサドルを確認していく最中、もう一つだけとオウ・ホウさんが言いづらそうにしながらも俺をまっすぐ見てできればで良いからと一つの頼みごとと共に頭を下げられてしまう。
それは要するに……洞窟の攻略を付き合ってほしいということだった。
尤も隣り合って一緒に進んでほしいというわけではなく、あくまでもオウ・ホウさんが安全確保した後ろから着いてきて欲しいだけだという。
何でも万が一にも何かのトラブルで身動きが取れなくなってしまった場合に備えておきたいのだという……一人では助かるものも助からず、そのまま誰にも知られずに命を落としてしまうだろうから。
また誰かと共に入れば仮に洞窟攻略に失敗して命を落としたとしても、一人でも帰れば情報を持ち帰ることが出来て無駄死にではなくなるというのだ。
もちろんオウ・ホウさんは死ぬつもりはないと言うが、それでも無駄死にだけは嫌なのだという……だからこそ俺について来てほしいらしいが、これが危険を顧みぬ我儘だともわかっているから無理強いは出来ないとただひたすらに頼み込んでくる。
そんな彼の真摯な態度を見ても俺の脳裏にチラつくのはフローラの不安そうな顔ばかりで……だけど断り切ることもできなくて、結局明日までにサドル等を用意してくるからその際にフローラと相談して決めるとしか言えなかった。
考えてくれるだけで十分だと微笑んでくれたオウ・ホウさんは明日の正午にこの洞窟攻略に挑むと言い、それまでにこの場所で再会しようと約束すると他にもしておきたいことがあると言って飛び立って行った。
彼を見送った俺もまた、明日どうするべきか悩みつつもとにかく残りの狼と豚を運搬してしまおうとこの場を飛び立つのだった。
四百二十四頁目
全ての狼と豚を洞窟の前に運送し終えたところで日が陰り始めて来て、俺は一頭だけ豚を連れて山肌の拠点へと戻ることにした。
あの場所も段々と強力な動物が攻め寄せてくるようになったから、動物たちの怪我を癒すための要員が欲しくなったのだ。
そう思って山肌の拠点に戻った俺だが、何故かあの巨大なケツァ君の姿が見えないことに気が付いた。
電灯のおかげで昼間のように明るいから見落とすはずはないのだが……そう不思議に思いながら拠点に入り素材を下ろしつつ、フローラを探して回ると居住区の食卓の上にメモ帳が置いてあることに気が付いた。
果たしてそれを読んでみると、何やら興奮しきったような走り書きで色々と試したいことがあるからあちこち巡ってくるという。
日が落ちているから少し不安を感じつつも、万が一の際はまた照明弾を打ち上げるだろうと自分を安心させるがどうにも落ち着かない。
だからフローラを探しがてら……すれ違いにならないように俺も食卓の上にメモを残しつつ、あちこちに作った拠点でも巡ってこようと思った。
とりあえずは……南の海岸にあるオウ・ホウさん達が住んでいる拠点でも見てこよう。
【今回名前が出た動物】
バリオニクス(身体の細長いワニ)
カルノタウルス(カルちゃんの同種)
ショートフェイスベア(熊)
ダエオドン(豚)
ダイアウルフ(狼)
ケツァルコアトルス(ケツァ君)