四百二十五頁目
世界が夕日に染まる中、南の海岸へと到達した俺は新たに無数の篝火に照らされている石造りの居城らしきものが出来ていることに気付き唖然としてしまう。
大きさこそ俺たちの拠点と大差なくこじんまりとはしているが、外見だけはいかにも西洋のお城っぽく仕上がっている建物はきっとメアリーが指示して作らせたものに違いない。
尤もこの島に来たばかりの彼女がこんなものを作れるとは思えないから、実際にやったのはフローラなのだろうけれど……何というか本格的にクラフト面じゃ敵わなくなってきている気がする。
一応外に回り入り口の門……恐竜が出入りする奴を応用して作ったらしいそこをノックして見たが反応はなかった。
だから仕方なく二階部分に出来ているベランダ……と行って良いのはわからないけれど、広々とした空間があり何故かアルケンCが待機している場所へ降り立ち、改めてそこから建物内に繋がる扉をノックしてみた。
すると不愉快そうにしながらも今度こそメアリーが出て来て、許可なく入るなと言って来た。
それでも話には応じてくれるようだからフローラのことを尋ねてみると、だいぶ前にこの建物を完成させたなりアルケンBに乗って自分の拠点へ戻っていったのだという。
ちなみにアルケンCは非常時の逃走用と言う名目で彼女がプレゼントしてくれたらしい。
ちょっと大盤振る舞い過ぎな気はしたが、考えてみればフローラはこの南の海岸で二回も危険な目に合っている。
大量の動物に襲撃されたり、新たに来たサバイバーに襲われかけたり……だから同じ女性であり見た目だけは魅力的なメアリーを気遣ってあげているのだろう。
だからそれ自体は気にしないことにしたが……ここに居ないのならば、果たして彼女はどこへ行ったのだろうか?
四百二十六頁目
一応は情報をくれたことを感謝しつつこの場を飛び立とうとした俺だが、メアリーに引き留められてしまう。
余り良い印象を持たれていない気がしたから呼び止められるとは思わず、驚きながら振り返ると彼女は相変わらず不愉快そうに俺を睨みつけながらフローラと夫婦なのは事実なのかと尋ねて来た。
その質問に再度驚くものの、思い返せばオウ・ホウさんとの応答時から新たな来訪者と余計なトラブルを生まないよう俺たちは夫婦だと主張しようと話し合ったことを思い出した。
恐らくはフローラから聞いたのだろう……何だか彼女が俺を旦那だと主張しているところを想像するとそれだけで嬉しくなって、ついつい緩んでしまう顔で頷いて見せた。
するとメアリーは俺などには勿体ない女性だと言い、自らの元で働かせるべきだと訳の分からないことを言い出してきた。
どうやらフローラの器用さを見て色々と身の回りの世話をさせたくなったのだろう……もちろんはっきりと、フローラは俺の愛する妻だから死んでも離れる気はないと断言してやった。
途端にメアリーは眉を吊り上げて叫び出したが、そんな彼女を放置して俺はさっさとその場を後にするのだった。
あんな我儘な奴に構っている暇はない……それよりも次はどこを探すべきだろうか?
【今回名前が出た動物】
アルゲンダビス(アルケンABC)