ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第165話

四百二十七頁目

 

 周囲が薄暗くなる中、空に浮かび上がりながらどこを目指そうかと当たりを見回して俺は謎の光点を見つけて驚いた。

 それは人工的に光り輝く塊で、しかも速度こそ遅いが飛行機のように空を移動しているのだ。

 一体何なのか不思議に思いながらも詳細を確認しようと近づいて……翼も生えていない肉食恐竜が光に照らし出されている姿にさらに驚愕してアルケンAから落ちそうになってしまう。

 

 何でこんな……よく見ればメガちゃんとそっくりな恐竜がどうやって空に浮かんでいるのか疑問に思うが、その足元をみて疑問が一応氷解した。

 何故ならそこには無数の電灯と共に足場となる石の建物の土台が敷き詰められていて、しかもその土台の下には巨大な翼がはためいているのが見えたからだ。

 どうやらケツァ君と同種の生き物が背中に建物ごとメガちゃんの同種を乗せて飛行しているようだ……もちろん幾らこの島が異常だからと言っても自然にこんな状態になるわけがない。

 つまりこれは人の手によって為されていることになるが、そこまで考えた時点で誰がこれをしているのかすぐに理解してしまう。

 

 実際に耳をすませば聞き覚えのある声がメガちゃんの足の下から聞こえてくる……間違えるはずもない、俺が最も愛する女性……フローラの興奮しきったような声だった。

 

四百二十八頁目

 

 フローラと共に一旦山肌の拠点へと戻った俺は、これはどうしたことかと早速事情を聞こうとした。

 しかしフローラはメガちゃんを下ろすと、あの草食の居る拠点へ移動しようと言い俺を手招きしてくる。

 何故この場を離れるのか不思議に思うが、その謎はすぐに聞こえてきた肉食の咆哮を聞いたところで理解できてしまう。

 

 どうやら件の停滞を許さないシステムがこの場所に留まり続けた俺たちを追い立てようとしているらしい。

 電灯に照らされた先から山肌の拠点めがけて……と言うよりも俺たちの居場所に向かって普通のティラノより一回りは大きな特殊個体が複数体やってくるのを見て慌ててアルケンAごとメガちゃんが降りたばかりのケツァ君の背中へと降り立つ。

 そしてフローラが指示を出すとケツァ君は俺やアルケンAごと見事に空へと舞い上がり、そのまま移動を開始して見せた。

 

 日が落ちて世界は薄暗くなるが、ケツァ君の背中には発電機ごと全方位を照らす電灯と前方を照らし出す照明の二種類が乗っているため闇の中でもある程度先を見通すことができた。

 篝火をサドルに刺しただけのアルケンとは偉い違いだ……これならば夜中でも目的地を決めて移動する分には問題がなさそうだ。

 下の方からは手も足も届かない場所まで浮かび上がった俺たちに向けて咆哮を上げる肉食達の負け惜しみに近い鳴き声が聞こえるが、それもしばらく移動すると自然に聞こえなくなっていくのだった。




【今回名前が出た動物】

アルゲンダビス(アルケンA)
メガロサウルス(メガちゃん)
ケツァルコアトルス(ケツァ君)
αティラノサウルス(一回り大きな特殊個体)
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