四百三十七頁目
フローラと朝食を食べさせ合ったり、細かい移動をする際も俺が抱きかかてあげたりして……とにかくイチャイチャしまくっているうちにあっという間に時間は過ぎていった。
それでも昼食前にアルケー君が騒いでくれたから、ぎりぎりでオウ・ホウさんとの約束を思い出した俺たちは金属の鎧を着こみながら何とか遅刻スレスレで待ち合わせ場所に辿り着くことができた。
既に待機していたオウ・ホウさんが俺達を出迎えて、そんな彼に移動中にケツァ君の背中で作り上げた各種動物のサドルを渡して手分けして装着していった。
その中で俺たちが共に付いていくことを告げると、彼は深々と頭を下げて謝罪と共に感謝の言葉を口にした。
そんな彼に俺たちは仲間なのだから気にしなくていいのだと言うと、彼は嬉しそうに微笑んでくれた。
そして改めて自らが危険な先頭に立つと宣言すると、松明をサドルに刺した身体の細長いワニに乗って洞窟の中へと入って行った。
直ぐに俺は狼……身体が小さすぎてサドルを付けれなかった四匹をオウ・ホウさんの護衛代わりに追従させて、俺はカルちゃんの同種に乗りフローラは必要と思われる荷物を持たせた熊へと跨ると、豚をそれぞれ追従させながら松明を手に後を付いていった。
……その際にフローラがサドルの上に跨ってから何か落ち着かないのかモゾモゾと身体を動かしていて、最終的に正座に近い形になったのは……顔を赤くして俺を見つめてる辺り、やっぱり昨夜の……今夜も……なんてことを考えている場合ではない、集中しよう。
四百三十八頁目
ここの洞窟は人が二人並んで通れるぐらいの細長い隙間がほぼ一本道のように奥へと続いている。
そして入ってすぐの場所だけは落ちたら怪我をしそうな段差が存在するが、これを迂回して進むと後の道はずっと岩壁に挟まれている。
おまけに光るキノコがあちこちに生えている上に、水晶がその光を反射しているのか、薄暗いけれど道には迷いそうにないかなと思ったところで、ついに前方から蝙蝠の群れが襲い掛かってきた。
しかしオウ・ホウさんは音で判断していたのか、蝙蝠の全容がまだ松明によって照らし出す前からワニの背中で弓矢を構えて打ち放っていた。
彼が矢を放つたびに蝙蝠の悲鳴と共に床に何かが落ちる音が聞こえて来て、姿が見えてからもこちらに到達する一瞬の間に片っ端から正確に頭を打ち抜いていく。
その正確無比な動きは完璧に洗練されており、無駄がないためか矢を放つ間隔もまた俺とは比べ物にならない速度だった。
おかげで近づけた蝙蝠は二匹ほどで、そいつらもオウ・ホウさんの頭上を通り越してこちらに迫ろうとしたが、その後ろから射貫かれて俺たちの元へ届く前に地面へと落ちて行った。
とりあえずこいつらの肉を豚に食べさせながらも、改めて俺は乱世を生き抜いていた本物の軍人の凄まじさを見せつけられて、感動とも畏怖ともつかぬ感情が湧きたってくるのだった。
……しかしこの人ですら手も足も出なかった豪雪地帯の洞窟って……一体どんな魔境なのだろうか?
【今回名前が出た動物】
アルゲンダビス(アルケー君)
ケツァルコアトルス(ケツァ君)
バリオニクス(身体の細長いワニ)
ダイアウルフ(狼)
カルノタウルス(カルちゃんの同種)
ショートフェイスベア(熊)
ダエオドン(豚)
オニコニクテリス(蝙蝠)