ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第174話

四百四十一頁目

 

 咄嗟にフローラを狭い通路に下がらせつつ、オウ・ホウさんと並ぶように前へと出てカルちゃんの同種で戦いを挑むが、向こうの力の方がずっと上のようで、こっちばっかり傷が広くなっていく。

 もしこのままこいつが殺されたら次は俺が……だけどこの場から離れたらフローラの命が危ない。

 そう思ったら恐怖も何も感じなかった……ただひたすらに殴り合っていると、そこへ飛ばされた狼が戻ってきた。

 

 更に他の敵を一掃し終えたオウ・ホウさんもまたワニを巧みに操りメガちゃんの同種に噛み付き始めて、こうなると幾らこいつが強くてもどうしようもない。

 数の暴力の前にメガちゃんの同種は苦しそうな悲鳴を上げ、ついにはズシンと倒れて動かなくなった。

 念のためにその身体を解体して生肉と皮にして、ようやく安堵してフローラへと振り返ると、彼女はちょっとだけ残念そうな顔をしていた。

 

 どうやらこの子も仲間にしておきたかったらしい……尤も俺としてはフローラに万が一のことがあったら困るから、そんな危険な真似をしようとは思わなかった。

 しかし一応覚えておこう、この洞窟にもメガちゃんの同種が出ることと……意外と身体が細いから出入りできそうだということを……。

 あり得ないと思うけれど、万が一この攻略に失敗した上で再度攻略することになった時はメガちゃんを連れ込むのもアリかもしれない。

 

四百四十二頁目

 

 安全を確保したところで、周囲に転がる動物の死体を豚に食わせつつボロボロになっている仲間たちの治療を任せた。

 実際に動物たちの傷が見る見るうちに癒えていくのを見たフローラとオウ・ホウさんは困惑とも感激ともつかない声を洩らす。

 しかし便利な事には変わりないからか、すぐにその事実を受け入れた二人は、この間にカプセルを調べようと提案してきた。

 

 もちろん逆らう理由などなく、皆で近づいたところでまずオウ・ホウさんが自ら試してみたいと言い、鉱石の埋め込まれている左手を伸ばした……が、左手の鉱石は赤く光って開くことはなかった。

 考えてみれば彼はまだこの島に来て数日しかたっていない……代わりにフローラが手を伸ばすと、鉱石が緑に光りカプセルは空気中に解けるように消えて、中に入っていたアイテムだけがその場に残った。

 やはりこのカプセルを開く条件はこの島でどれだけサバイバル経験を積めたかどうかなのだろう……そう告げるとオウ・ホウさんは少しだけ残念そうにしながらも、出てきたアイテムを興味深げに眺め始めた。

 

 俺もまたフローラが手に持っているソレを覗き込むと、どうやらまたしても何かの設計図のようだ。

 一体今度は何を作れるようになるのかと詳細を確認しようとしたところで、フローラがいい笑顔で少し待ってと言って……熊に持たせていた資材の中から木材と繊維を取り出し……ササっと弓を作り上げてしまった。

 どうやらこれは弓の設計図だったようだ……尤も良質なクロスボウやライフルを使っている俺達には不要なものだ。

 

 だからオウ・ホウさんへと差し出したが、彼はかるく触ってみて、すぐに目を輝かせながらこれほど良質な弓矢は見たことがないと感激した様子で弄りまわし始めたではないか。

 仮にも弓矢が大量に出回っているであろう社会で暮らしていたオウ・ホウさんがここまで言うには、よほど上手に仕上げることができたようだ……設計図ありきとは言え、フローラのクラフト能力はもはや疑う余地がなさそうだ。

 本当にこれを貰って良いのかと何度も訊ねながらもしっかりと弓を握って離さないオウ・ホウさん……もし帰れたら良いお土産になるとまで言っている。

 

 そして実際に俺たちに試し打ちして見せてくれたが、どうやったのか、洞窟の壁に石矢が深々と突き刺さったではないか……フローラの弓が凄いのか、オウ・ホウさんの腕が凄いのか……きっと両方だろう……頼もしすぎる。




【今回名前が出た動物】

カルノタウルス(カルちゃんの同種)
ダイアウルフ(狼)
バリオニクス(ワニ)
メガロサウルス(メガちゃんの同種)
ダエオドン(豚)
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