四百四十五頁目
前回の洞窟での出来事を覚えている俺たちは、アーティファクトの回収と共に動物が襲撃してくることに備えていたが、今回はそう言うことはなかった。
恐らくは先ほどの襲撃でこの辺りに居る動物は倒し切ってしまったのだろう……おかげで帰りもまたスムーズに進み、あっさりと俺たちは地表へと出戻ることが出来てしまった。
何だかんだで毎回洞窟を攻略するごとに苦戦しまくっていたから、これほど上手く攻略できてしまったことに呆気に取られてしまう。
それだけオウ・ホウさんが頼りになったということか……俺達が慣れてきて準備も万端に揃えられるようになったということなのか……あるいは三人という数が揃ったことが大きかったのかもしれない。
おかげでまだ日が落ちるには早い状態で、これならもう一つの洞窟も攻略できるのではないかとちょっとやる気になる俺達だが、オウ・ホウさんは体力の消耗などを考えて一つ一つ確実に攻略していこうというのだ。
全く持ってその通りなので素直に従う俺たちに、オウ・ホウさんは代わりとばかりに次に向かうマグマの流れる洞窟を攻略するための動物を集めるのを手伝ってほしいと頼むのだった。
四百四十六頁目
オウ・ホウさんのお願いを断る理由などあるはずもなく、早速移動を開始する俺達だがその際に向こうの洞窟でも連れていけそうな狼と豚、それに手足の生えた細長いワニをケツァ君の背中に乗せて連れていくことにした。
後ろのスロープ部分から動物たちを乗せていき、その後当たり前のように飛び上がって見せたケツァ君を見て、同じくプテラで付いてきたオウ・ホウさんは感激したような声を洩らす。
考えてみれば彼の時代には飛行機どころか空を飛ぶ手段は何一つ存在していなかったはずだ……それなのにこうして背中に居住区を背負って生き物を運搬するところを見たら驚かないはずがないではないか。
彼はしきりにこの移動する拠点を感激した様子で見つめながら、これさえあれば大陸を制覇するのも楽であろうにと……それどころか自分が乗っているプテラ程度ですら連れて帰って騎馬隊代わりに出来たらどれだけ心強いかと何度も口にしていた。
……もし俺たちがクローンではなく時代を超えて集められてるだけだとして、全てが上手く行き元の時代に戻れたとしてもそんな真似をされたら歴史が変わって大変なことになってしまいそうだ。
尤もその可能性は薄そうだし、何より俺たちが気にしても仕方のない話でもあるが……最悪、俺はフローラと共に過ごせれば歴史がどうなろうと知ったことでは無い。
それこそバタフライ効果だか何だかで俺達の存在が消滅するのは怖いが、俺たちが生まれてこないことになればこの場でオウ・ホウさんに出会うこともなくなり洞窟を攻略できなくなって帰らなくなり……要するにタイムパラドックスが起こるからやっぱり気にしなくて良さそうだ。
……まあ十中八九、クローン説の方だと思うけれど……幾ら科学力が発展したって時間軸にまで干渉できるとは思い難いから。
とにかくどちらにしてもおれのフローラの生活に影響がないようだし、洞窟攻略とアーティファクト集めを躊躇する必要はなさそうだ。
【今回名前が出た動物】
ダエオドン(豚)
ダイアウルフ(狼)
バリオニクス(手足の生えた細長いワニ)
ケツァルコアトルス(ケツァ君)
プテラノドン