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予定より早く孵化した様子のティラノだが、丁度近くにメアリーが居たからか彼女を親のように慕って離れない。
ずっと世話をしていたフローラは少しだけ不満そうだったが、それに対してメアリーは最初こそ怯えた様子だったが俺たちから刷り込みという現象を聞くと意外にも早い段階で受け入れ始めた。
優しく身体を撫でてあげて、お腹がすいたとばかりに鳴き声を上げると俺たちに食事を持ってくるように指示を飛ばしてきて……仕方なく外に転がる死体から新鮮な霜降り肉を取ってきてやる。
そして食べさせようとするがやはり俺やフローラからでは受け取らない……それを見ると何とあのメアリーが自らが汚れるのも構わず血の滴る肉を受け取ると食べやすいサイズに何とか切り取って丁寧に食べさせ始めたではないか。
まさかあの高飛車な彼女がここまでするとは予想外だったが、一生懸命に食事を食べるティラノの子を見つめるその顔は愛おしさと……儚げで寂しそうな様子が漂っていた。
おかげでついつい口出しする隙を逃してしまうが、メアリーの方は満腹に至ったティラノの様子を見届けるとすぐに俺たちへと向き直って風呂に入るから支度を手伝えと言うのだった。
……一瞬だけドキッとしそうになったのは秘密だ……尤もそんな俺の足をフローラが力強く踏みつけてきたからバレていたかもしれないが。
四百六十八頁目
やっぱり俺は論外のようで、メアリーは汚れを落とすためにフローラだけを連れて風呂場へと移動した。
その際に二人から覗くなと厳重に言われて睨みつけられてしまう……そんなことするわけないのに。
とにかく二人がお風呂に入って手持ち無沙汰になった俺は、ティラノの子の面倒は卵を温めてくれていたタビィちゃんに任せて、今のうちに連れて行く動物を選定しておくことにした。
尤もどいつもこいつも傷だらけで豚の治療を受けている状態だ。
こんな状況で豚を連れて行くのは少しだけ躊躇われてしまう。
だから豚は諦めて傷だらけのティラノ……ではなくて防壁の内側にいたからピンピンしているテリ君を連れていくことにした。
こいつは高品質のサドルを付けているからフローラの護衛にはぴったりだろう……後は身辺警護用について歩けるサイズの動物が欲しいところだ。
出来れば狼あたりが良いが豪雪地帯まで捕まえに行くのは面倒だ。
どうせなら近くにいる奴を捕まえようと思い、久しぶりにアルケンBに跨ると飛び上がり……せっかくだから山頂へと向かい金属鉱石などを確保してくることにした。
ついでにそこへいつも通り湧いて出たサーベルタイガーを一匹仲間にすると、こいつをフローラの護衛にしようと鍵爪で掴んで持って帰るのだった。
【今回名前が出た動物】
ティラノサウルス
アルゲンダビス(タビィちゃん・アルケンB)
ダエオドン(豚)
テリジノサウルス(テリ君)
サーベルタイガー