四百七十頁目
卵の孵化も終わったことで役目を終えたタヴィちゃんだが、何かあった時のためにこの場所に残しておくことにした。
代わりに他の飛行生物であるペアラちゃんとアルケンBCを追従させ、ティラノの子供とサーベルタイガーとテリ君をケツァ君に乗せた状態で南の海岸へ向けて飛び立つ。
果たして共にケツァ君の背中に乗っていたメアリーだが、しおらしく……という程ではないが俺の存在に文句をつけることもなく、また同乗している恐竜のせいで狭いなどとも言わず、むしろ子ティラノのお世話を愛おしそうにしている。
よほどこの島を巡った経験で人に嫌われることの恐ろしさを悟ったのか……或いは最初っから威張ってばかりで気づけなかっただけでメアリーは寂しがり屋だったのかもしれない。
だからこうして探しに来てもらえて、しかも恐竜とは言え自分に懐いてくれる存在を見つけて精神的に余裕が出来つつあるのだろう。
おかげで俺とフローラが一緒に居ても文句を言われることもなく、南の海岸に戻ってオウ・ホウさんと合流しても挨拶こそしなかったが軽く会釈する程度には態度が改善されていた。
尤も檻の中に居るあの子……マァに威嚇されると一瞬驚きつつもこの粗暴な輩も新しく来た仲間なのかとフローラに尋ねつつ不機嫌そうに睨み返すのだった。
四百七十一頁目
そんな余り良いとは思えない邂逅を済ませたメアリーとマァだが、フローラが間に入ると二人とも大人しくなる。
クラフト面から対人関係までと、何だかフローラはあらゆる面で俺を上回る活躍を見せていて、俺ももっとしっかりしないと愛想をつかされるんじゃと少しだけ不安になってしまう。
そんな俺に気付いているのかわからないが、メアリーはボケっとしていないでさっさと洞窟攻略とやらに言ってきたらどうじゃという。
どうやらこちらの事情はフローラから聞いて知っていたらしい……本当に彼女達を置いて行って良いのかと躊躇する俺達男性陣に対し、メアリーもフローラも大丈夫だとばかりに頷いて見せた。
動物たちを含めて皆で協力するから平気だと、愛する女性に堂々と言われては信じるしかない。
だから詰んできた生き物を下ろしてケツァ君に乗り込んだ俺たちは、フローラが用意してくれた装備や道具一式を受け取ると、残る飛行生物もこの場に待機させてから行ってくると手を振りこの場を飛び立った。
目指すはマグマの洞窟だ……そう思って移動している最中にオウ・ホウさんは少しだけ安堵したようにため息をついた。
あの子供の件やメアリーについての問題がとりあえず何とかなったこともそうだが、それ以上に彼は実のところマグマの洞窟は危険すぎるから女性陣を連れて行くのはどうかと思っていたらしい。
またマグマもそうだが酸を吹き出すムカデを見て、もしもそれらで顔に火傷を負って消えない傷が出来たら……男と違って女性には辛過ぎるだろうと考えていたらしい。
……命の危険こそ気遣っていたが、そんなところまで思い至ることができなかった自分が情けない。
フローラもオウ・ホウさんも俺より立派で頼りがいがあり過ぎる……もっともっと俺も頑張らないといけないな。
【今回名前が出た動物】
タペヤラ(ペヤラちゃん)
アルゲンダビス(タヴィちゃん・アルケンBC)
サーベルタイガー
テリジノサウルス(テリ君)
ティラノサウルス
ケツァルコアトルス(ケツァ君)