ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第191話

四百七十二頁目

 

 マグマの洞窟前に到着した俺たちは、最終的な洞窟攻略のための準備と確認を始めた。

 まず俺とオウ・ホウさんは細長いワニに乗って行き、後ろから豚二匹をそれぞれ追従させる。

 そして前方を狼四匹とラプトル六匹に警戒させ、念のために後方からはサドルを装備させたカエルを二匹連れて行く。

 

 これだけ護衛を引き連れた状態でオウ・ホウさんまでいるのだから俺たちの安全はほぼ確保されたも同然だろう。

 尤も今回は俺もオウ・ホウさんも、万が一にも足を滑らせてマグマに落下しそうになった時に備えて、常にその手にロープ付きフック……フローラがグラップリングフックと名付けたそれを装着したクロスボウを持ち続けることにしている。

 だからオウ・ホウさんの戦闘力にあまり頼るわけにはいかないということもあって、これだけ動物を連れ込むことにしているのだ。

 

 次いで俺たちの装備も確認する……全身をフローラが作ってくれたギリースーツで包み込み、同じく彼女が作ってくれたオリジナルドリンクを大量に保持してある。

 もちろん例のクロスボウも打ち出す弾代わりのフックや石の矢、念のために麻酔矢も予備を含めて持っているし、オウ・ホウさんはそれとは別に例の至高の弓とそこそこの性能をした剣をいつでも引き抜けるよう腰に下げている。

 更に視界確保のための松明もサドルに刺してある……余り重量があり過ぎて足元がふらついても困るから、これで全部だ。

 

 ……フローラがいてくれれば彼女に雑貨物を分けて持たせる選択肢もあったのだが……何より必要な物があっても中で作って貰えたから本当に頼りになったのだが、無い物ねだりしても始まらない。

 オウ・ホウさんもまたそのことに気付いているようだが、時間は幾らでもあるのだから足りないものがある様なら出直せばいいのだという。

 確かに無理して一度に攻略する必要などない……むしろ下手に気負ってミスっても大変だ。

 

 だから俺は駄目で元々ぐらいのつもりで、気を楽にして洞窟へと挑むのだった。

 

四百七十三頁目

 

 相変わらず中は暗くて松明を焚いておいて正解だった。

 尤も炎が近くにあるせいで、ただでさえマグマが流れて熱い洞窟の中が余計に息苦しく感じそうなものだが……ギリースーツは想像以上に快適で、むしろ涼しさすら感じるほどだった。

 恐らくは換気性が高いだけでなく使った素材が通り抜ける空気を適切な温度に冷やしてくれているからなのだろう……信じがたい性能だが深く考えても仕方がない、この島のテクノロジーで作られた素材ならではの特徴だと割り切ろう。

 

 とにかくギリー装備のおかげで環境問題は解決したと言って良いだろう。

 だから後は足を滑らさないように攻略するだけだと思い慎重に進んで……いつもの蜘蛛と、珍しいことにあのエリマキトカゲが襲ってきた。

 もちろん今の俺たちの敵ではなく瞬殺できるが、何故今回に限って最初の海岸にすらいる弱い肉食であるエリマキトカゲが居るのか少しだけ首をかしげてしまう。

 

 ひょっとしてこの熱波の克服が難しいから洞窟の中に生息している生き物は弱めにしているのではとも思ったが、それならこのまま進めばあっさりと……なんてその考えが的外れだったことに少し進んだところで気づかされる。

 この島の主がそんな生温い真似をするはずがないのだ……そんな俺たちの視界に入ってきたのは途切れた足場に、ジャンプしなければ辿り着けない道の続きだった。

 もちろん下にはマグマが流れていて落ちたら一巻の終わり……本当にこの島の管理人は俺達を全力で殺しに来ているようだ。

 

 こうなるとあのエリマキトカゲが居た理由も良く分かる……こんな足場の悪いところであいつの毒液を喰らって目が見えなくなったら……本当に悪意しか感じられない……もしもこれを仕組んだ奴がいるなら一発と言わず何度か殴ってやりたいものだ。

 ……いや、フローラに合わせてくれた恩義を思えば帳消しにしても……やっぱり彼女をこんな危険に巻き込んだ罪で一発は殴ってやろう。




【今回名前が出た動物】

バリオニクス(細長いワニ)
ダイアウルフ(狼)
ユタラプトル
ダエオドン(豚9
ベールゼブフォ(カエル)
アラネオモーフス(蜘蛛)
ディロフォサウルス(エリマキトカゲ)
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