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実際に動物小屋の中を見て回ると、確かにドードーやあのエリマキトカゲを始めとして色々な動物がひしめいていた。
個人的にはもうあの二匹を仲間にするつもりがなかった俺は少しだけ初めて仲間になってくれたドーちゃんとエーちゃんを思い出してしまい、少しだけ感傷的な思いに囚われそうになる。
しかしこの島で生きる上でそんな想いを引きずっても仕方がない……何よりも愛するフローラが必要だと判断して行った事なのだから、受け入れようと素直に思えた。
しかしそこでドードーが別の個体へと近づいて身体を重ね初めてしまい……慌てて視線を反らした俺だがフローラは今更何を動揺しているのかとニマニマ笑いながらわき腹を突っ突いてくる。
尤もその顔はちょっとだけ赤く染まっているようだけれど……そして瞳は何かを期待するように潤ませてきてじっと俺を見つめてきている。
目の前の行為に当てられたこともあってか理性が吹き飛びそうになり、反射的に顔を近づけようとしたところでオウ・ホウさんの感心したような声が聞こえて来て正気に戻った。
果たして一緒に入ってきたオウ・ホウさんはその光景を眺めて感心したような声を洩らすだけで、特に動揺したりはしなかった。
それは後からは言って来たマァも同じであり……尤もこちらはあの行為の意味を理解できていないだけのようだ。
最後に居城からドードーの子供を抱いて出てきたメアリーもこちらに顔を出して……彼女だけは露骨に顔を真っ赤にして後ずさって見せるのだった。
どうやら彼女も余りこういうのは得意でないようだ……初心仲間がいて安心したような……こんな事じゃ不味いような……もう何度目になるかわからない決意だが、もっとしっかりしましょう俺。
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そこでふと俺はメアリーが抱いているドードーの子供はどうしたのか気になって尋ねて見た。
するとどうもフローラは俺達が帰って来るまでの時間を有効利用しようと、三人で役割分担をし始めていたのだ。
まず身体能力に優れいていて動物の扱いもお手の物なマァに動物の捕獲を頼み、アルケンCに乗って移動して島中からアルケンで掴んで運べる大きさの生き物を集めてきてもらった。
その間にフローラは動物の暮らす場所や必要になるであろう道具の制作に掛かったが、残ったメアリーに何を指せるかが問題になった。
せっかくの人手だから放置しておくのも勿体ないし、かといって動物の捕獲は彼女一人ではとても無理だったそうだ。
更にクラフトも何も行っていなかったためか、未だに藁づくりの建物しか作れなそうであり下手に手伝ってもらっても足手まといになりそうであった。
だからカスタムレシピを渡してその通りに料理を作って貰おうとして……そのタイミングで丁度、仲間にしたドードーが卵を産んだのだという。
幾ら何でも早すぎると思ったが、どうも動物によって産卵速度や孵化までの時間が違うらしい。
詳しくはわからないがフローラの仮説によると草食肉食の違い……よりも能力が弱い動物程早く生まれ育つ気がすると言うが……この島の管理人の調整からしてそれは何となくわからなくもない気がした。
とにかくそこで受精卵を見つけたフローラは前にメアリーがお世話をした……というか傍にいて触れていた卵が予想より早く孵っていたことを思い出し、ひょっとして適性があるのではと思ってついでに孵化も任せて見たのだという。
急な提案に困惑するメアリーに無理やり卵を押し付け、残っていたアルケンBで山肌の拠点へと一度戻り発電機とエアコンだけを作りとんぼ返りすると、早速居城内に孵化用の部屋を増築して後を任せておいたようだ。
すると予想通りというかメアリーは律儀に受精卵を大切に扱い、それこそタヴィちゃんが温めていたように肌身離さず抱えてあげて……あっさりと孵化させることに成功してしまったのだそうだ。
メアリーの意外な才能に驚きを隠せないが、実際に孵化しているドードーの子供やティラノの子供も彼女に懐いている様子を見ると納得せざるを得ないのだった。
【今回名前が出た動物】
ドードー(ドーちゃん)
ディロフォサウルス(エリマキトカゲ・エーちゃん)
アルゲンダビス(アルケンBC)
ティラノサウルス