ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第2話

五頁目

 

 やったっ!! やったぞっ!! これぞ文明開化だっ!! すばらしいっ!!

 石と木材を繊維で結ぶことで、なんと簡易のツルハシと斧を作ることに成功したのだっ!! 

 これで手に入る素材の量も増えるし、なにより一から自作して作った道具なだけに何とも感無量だっ!!

 

 尤も即席なだけあって非常に壊れやすいのだが……まあ些細な問題だろう。

 

 後は一応自衛に使えるかもだが……さすがに現代っ子で喧嘩の経験もろくにない僕ではこの脆い武器で野生生物に勝てる気はしない。

 やはり初志貫徹というべきか、安全地帯の確保のためにも家を作ることが急務だろう。

 しかし大分時間がかかってしまった、日差しも頂点に達しつつあるし動いたりもしたせいか熱くてたまらない。

 

 ああクーラーとは言わない、せめて氷水が欲しい……喉が渇いた。

 

 

六頁目

 

 水だ……水が飲みたい……

 けれどさすがの僕でも生水が危険ということぐらいは知ってる、まして海水など飲めるはずもない。

 じゃあどうするべきか、一応煮沸だとか蒸留だとか言葉は知っているが……兎にも角にも火が必要だ。

 

 でも……じゃあどうやって火を起こす?

 

 ここにはガスもコンロも電気もライターもありはしない……木で木をこするのか、できるわけがないだろう。

 かといって水を飲まなければ死んでしまう、ああ畜生めやるしかないのかっ!?

 とにかく果実を絞って喉の渇きぐらいは潤す、そして……とにかく行動あるのみだっ!!

 

 

七頁目

 

 何がいけないのか、いくら擦っても炎はおろか煙を拝むこともできない。

 おまけに結構な重労働だ、日陰に入っての作業だがそれでも大量に汗をかく。

 もはや果実からの水分補給では間に合わない……水だ、今すぐ大量の水が飲みたい。

 

 もう作業を続ける集中力も欠けた、ああ水……水が欲しい……

 すぐそこにある水、あれが飲めれば……飲みたい……一口でいいから……

 一口なら大丈夫だろう、ダイジョウブにキマッテル……ノモウ……

 

 ああ……つめたくて……おいしい……

 

 

八頁目

 

 喉の渇きも潤いお腹も膨れ、太陽も沈み始め暑さも和らいできた。

 おかげで冷静さを取り戻した頭で、僕は不思議なこの状況について考えていた。

 

 この島は……いやここは本当に島なのか?

 

 寄せては返す波、太陽の輝きを反射するそれは紛れもなく海にしか見えない。

 しかし飲んでみてわかった、これはただの真水だ……それも人が飲める程度に澄んでいる。

 こんな場所が地球上にあるのだろうか、あるとして何故そんな場所に僕はいるのか?

 

 不気味さすら感じる現状に恐ろしさを覚えるが今すべきことは……便意を解消することだろう。

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