五百八頁目
何度目かの狭い通路を抜けたところで、急に目の前に何もない空間が広がり、慌てて足を止める。
どうやらここからは崖になっているらしく、下を覗き込んでみても暗くて殆ど見通せなかった。
そこでオウ・ホウさんに言われて新しく燃やした松明を下に放り投げて再度確認して見ると、数秒ほど落下したところで地面へとぶつかった。
その様子からしてここから地面まではかなり距離があるようだ……それでもグラップリングフックを応用すれば人間だけなら行き来出来なくはなさそうだが、動物たちは戻っては来れないだろう。
何せカエルの大ジャンプですら全く歯が立たなそうなぐらい深いのだから。
流石に護衛の動物無しで進むのは自殺行為すぎる……だから崖を下る以外に道はないかと探ると、左の壁沿いに本当にギリギリ一人分通れるぐらいの道が続いていた。
そこを落ちないよう慎重に進み始めた俺達……しかし、当然のようにその足場の悪さを見越しているかのように、崖の向こう側から蝙蝠たちが鳴き声を上げながら襲ってくるのだった。
本当に洞窟という場所はいやらしいタイミングで敵が襲撃してくるものだ……絶対にこの島の管理人が意図的に配置しているのだろう。
やっぱり顔を見る機会があったら、この手で直接何発か殴ってやりたいものだ。
五百九頁目
相変わらずオウ・ホウさんが騎乗した状態で弓を巧みに使って蝙蝠を撃ち落としてくれる。
俺も協力しようとクロスボウを構えるが、足場が悪すぎて落ちないよう恐竜を操るのに精いっぱいで、どうしても攻撃に集中できない。
しかも後方にいたカエルと豚たちが律儀に蝙蝠へ攻撃を仕掛けようとするものだから、彼らにも押されて何度も落ちそうになる。
そんな仲で強引に位置取りをしたせいで一匹のカエルが崖から落ちて行ってしまった。
それでも何とか蝙蝠を倒すことには成功して、ほっと一息ついてから崖の下を覗き込むがカエルの姿は全く見えなかった。
ただ鳴き声は時々聞こえてくるから死んではいないようだが……流石に回収するのは諦めるしかなさそうだ。
五百十頁目
落ちたカエルを置いて再度慎重に下るような形で続いている道に沿って移動すると、再び壁と壁で挟まれた狭い通路に差し掛かった。
すれ違うのも厳しいであろうそんな狭い場所に、今度は無数の蛇とムカデが壁に貼りつくような形になって俺達を待ち構えていた。
これに先行していた狼たちが食いついて行くところを、後ろからオウ・ホウさんが的確に射貫いて確実に数を減らしていく。
俺も手伝いたいところだけれど、俺の腕では下手したら前に居るオウ・ホウさんに誤射しかねないので見守ることしかできなかったが、結局殆ど問題もなく片付いてしまう。
尤も狼たちはムカデの酸染みた返り血によりかなり痛々しい状態になってしまっているが、回復させようにも道が狭すぎて後ろにいる豚と位置を変えることが難しい。
だからせめてもう少し広い場所に出るまで我慢してもらおうと進んだところで、左右の壁が一層突き出ていて特に狭まっている場所にぶつかってしまった。
果たして身体の小さい狼たちと身体がスリムなワニはギリギリ通り抜けることができたが、豚とカエルはどうしても通り抜けることができなかった。
つまりこの先に進もうと思ったら怪我をしている狼とワニ、そして俺達だけで進むことになるが……さて、どうしたものか……。
【今回名前が出た動物】
ベールゼブフォ(カエル)
オニコニクテリス(蝙蝠)
ダエオドン(豚)
ティタノボア(蛇)
アースロプレウラ(ムカデ)