五百十三頁目
道に迷わぬよう右側の壁に沿って進んでいった俺達は、今までで一番広々とした空間に辿り着いた。
しかもそこには遺跡染みた廃墟も存在していて、狼がまた何かを嗅ぎつけたような反応を示していた。
実際に廃墟に入り狼が示したところを探索して見ると、今度もまたヘレナ氏が書いたマンモスの学術書を見つけた。
もちろんこれも内容を読むのは後回しだ……何せ敵対生物が襲ってきているのだから。
今回は蜘蛛とサソリだったが、広く場所が取れていることもあり俺達と狼、それにワニと共同してあっさりと倒すことができた。
そうして安全を確保した上で、進む道とアーティファクトを求めてこの場所を詳細に調べて回った。
そこで気が付いたが、どうやらこの場所は水没しかけているようで、少し下に降りた場所は殆どが水で満たされてしまっていた。
おまけに陸地伝いに探すが義理では進むべき場所は見当たらない。
道中で進むべき道を間違えてたのか……それとも水で満たされた対岸に道があるのか、或いは潜って進むのか……。
五百十四頁目
とにかく対岸に道があるのかどうかを探索しようと水中でも活動できるワニに乗ったまま、カエルを追従させて泳いで渡ってみることにした。
尤も前の洞窟の事例を思い出す限り、この水中にもピラニアなりが無数にいてもおかしくないからもっと安全な方法を取りたかったが何も思いつかなかったのだ。
もしここにフローラが居てくれれば話は違っただろうが……フローラはいつだって万全以上に準備していて、内部で必要な物を即席で作れるように資材なども持ち込んでいたぐらいだから、多分筏なり何なりを作ってくれたことだろう。
完全にその手のクラフトをフローラに頼りきりで、彼女が作ってくれた物だけを持ち込んで満足していた自分が情けない……次から気を付けようと思いつつ、俺はオウ・ホウさんと共に水中へと飛び込んだ。
まずは薄暗い中で陸地を見失わないために目印となる廃墟の傍から、更に右側の壁伝いに泳ぎ始めて……思った通り直ぐに無数のピラニアが襲い掛かってきた。
とにかくワニとカエルで対処していくが、これがまた数が多くて大変だった。
一匹一匹はワニの敵ではないが数の暴力によって、見る見るうちにワニの身体は傷付いていく。
それでも倒し切れそうではあったが、このまま万が一ワニがやられて俺達の身体が水中に没したら、俺達まで命を落としかねない。
だから一旦、俺達はグラップリングフックを使って近くの壁に這っている木の根と思わしき部分に飛びつき、軽く一息つきながら改めてワニとカエルに指示を出してピラニアを一掃していく。
その際に俺達もクロスボウや弓矢で援護しようとしたが、ちょっとした体制の変化で俺は松明を落としてしまった。
松明が無ければ洞窟内はやっぱり薄暗くて見通しが悪い……それでもすぐ近くの壁に出っ張っている部分があって、もう一度グラップリングフックを利用して何とか其方へと飛び移り、再度新しい松明を作って火種を飛ばそうとした。
しかしそこで上の方から風が通り抜けるような音と、実際に少しだけ温度の違う空気を感じて、見上げてみると奥に続いていそうな隙間があることに気が付いた。
……多分カエルの大ジャンプならあそこに届きそうだし、隙間を潜り抜けることもできそうだが……。
【今回名前が出た動物】
マンモス
バリオニクス(ワニ)
アラネオモーフス(蜘蛛)
プルモノスコルピウス(サソリ)
ベールゼブフォ(カエル)
メガピラニア