ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第216話

五百二十一頁目

 

 皆で協力してケツァ君の背中に居た子供達や卵を無数のエアコンがある孵化部屋へと移動させたところで、完全に日は落ちて辺りは闇に包まれ……なかった。

 何故なら家と家の間にある道のあちこちに街灯と言わんばかりの電灯が一定間隔で建てられていて、それらが昼間のように辺りを照らし出していたのだ。

 おかげでというべきか、インゴットを取りに行っていたマァも迷うことなく戻ってくることができた。

 

 彼とも協力して今度は旋盤にインゴットを入れていき、更にはアルケンABに持たせていた他の資材も渡してくる。

 どうやらマァはケツァ君が居ない間、ずっと資材の回収に専念していたそうだ。

 真珠や原油、ガソリンなども渡しながらしきりに取ってきたから麻痺矢か麻酔弾をくれと片言で語っているマァ……それらを使い切ってしまって仕方なく動物の捕獲を断念していたようだ。

 

 それでもフローラが今日はもう日が落ちているからまた明日の朝に支給するからよろしくと頼むと、素直に頷いて今度はご飯ご飯と呟き始める。

 そんな彼に微笑みかけながら手を洗ってからだと指摘するフローラとメアリー……見れば崖下にある海面から水道が伸びていてこれも各家に繋がっている。

 ……マァも多少は協力しただろうけれど、よくぞまあここまで仕上げたものだ……それこそまるで小さな集落のようだ。

 

 いや間違いなくそうなのだろう……多分フローラは将来的に作る村づくりに備えて、この場所を作ったに違いない。

 早くも目的を叶えようとしているフローラを見て何やら誇らしいような気持ちになるのだった。

 

五百二十二頁目

 

 手を洗い食事をとり終えたところで一度解散となり、メアリーは大きな家へ向かいマァは食事を食べた部屋のベッドに飛び込んで横になってしまう。

 出来ればお風呂に入れたいのだけれどと苦笑するフローラだが野生児だけあってそんなこと気にもしないのだろう……それでも時間をかけて教え込むつもりのようだが……。

 

 それはともかく改めて二人きりになった俺達は早速恋人同士の時間を過ごす……こともなく、工業炉の作成に取り掛かり始めた。

 何せフローラが乗り気でやる気満々で、俺もまた最近凄すぎる彼女に負けないためにも……そんな彼女に頼りにされていることも嬉しくて手伝いをしたかったからだ。

 だから旋盤でフローラが作った工業炉のパーツを受け取り、彼女の言う近くにある金属鉱石が大量にある採掘場へと向かい、夜中でも轟々と燃えて目立っているそこに降り立った。

 

 そして予め工業炉の置き場として土台を並べてある場所で組み立てていき、一段落付いたら製錬炉からインゴットを回収してフローラの元へと戻り、それと交換でまたパーツを貰って……を何度も何度も繰り返した。

 ただ時折動物の鳴き声が聞こえるのが怖いところだが、この場所はちょうどクレバスや雪山の窪みに挟まれている場所にあるため、飛行生物以外は近づけないのだ。

 そしてこの場所の野生に居る飛行生物はアルケンの同種だけであり、またこいつらは死肉漁りに夢中なので他の動物が争っている所へと向かっていく

 

 おかげで危ない場面もなく作業に没頭することができて、工業炉は確実に完成へと近づいて行った。

 そんな中でフローラの元と採掘場を行き来している間に、ふとアルケン達の中に有機ポリマーが残っていることに気が付いた。

 下ろし忘れかと思ったが、どうも動物達の体温に触れさせていると固まりにくくなり……普通に保管するより長期間保存できるためわざとこうしているのだと教えられた。

 

 ……良くそんな細かいところまで気づくものだと感心してしまう。




【今回名前が出た動物】

ケツァルコアトルス(ケツァ君)
アルゲンダビス(アルゲンAB)
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