ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第217話

五百二十三頁目

 

 俺とフローラは顔を見合わせて頷き合うと、点火装置を作動させてガソリンを燃やし始めた。

 途端に勢いよく炎が舞い上がり、内部に収められている金属鉱石の山を一気に溶かしていく。

 ついに完成した工業炉は、予想以上の性能を発揮していて、俺達は疲れすら吹き飛ぶほど満足してしまう。

 

 この調子ならこれからはバンバン金属のインゴットを使っていけそうだ……もう数に悩まされる心配はないだろう。

 また木材も焼くことで火薬の材料となる木炭も大量に生産できることも分かっている……最初、ガソリンの代わりに燃料として使えないかと試してみた副産物だった。

 これなら弾薬だって作り放題だ……重火器さえ揃えば肉食恐竜だって単独でハントできるようになるだろう。

 

 これで武装を整えれば、安全の確保には十分すぎるだろう……もう一生だってこの島で暮らしていけるかもしれない。

 身一つでこの島に着いた当初の原始人的な生活と比べると何やら涙が零れそうになる……これはまさに産業革命と言っていいぐらいの変化だっ!!

 

五百二十四頁目

 

 興奮して疲れを忘れていた俺達だが、作業の汚れを落とすために一旦家に戻ってお風呂に入った。

 その際に興奮しすぎて……余計に疲れてしまい、お風呂から上がると同時に二人揃ってエアコンで完璧に温度管理されている部屋のベッドに倒れ込んで、そのまま泥のように眠ってしまう。

 おかげで目が覚めた時には昼過ぎで、慌てて着替えてから他の皆のところへ向かったが、既にマァは動物の捕獲に出かけた後であった。

 

 メアリーは残って動物の子供の面倒を見ていたが、彼女は呆れたような声で寝坊した俺達を非難して……だけど何故かその顔を赤く染めて何か言いたげな目を向けていた。

 一体どうしたのかと思ったが、話しをしている間に彼女がぽろっと起こしに行ったけどと呟き慌てて口元を押さえたことで事情を察してしまう。

 どうやらお風呂上がりのまま二人揃ってベッドに入っているところを見られたようだ……そして俺達の関係を夫婦だと思っている彼女がそれを見て何を連想したかは……そう思うと今度は俺達の顔が赤くなってくる。

 

 そのせいでこの場には微妙な空気が流れてしまい、それをごまかそうと俺は慌てて工業炉の様子を見に行くと叫び家を飛び出すのだった。

 

五百二十五頁目

 

 相変わらずものすごい勢いで金属鉱石を溶かし木材を木炭に変えていく工業炉に可能な限り素材をぶち込んでから、持てる限りのインゴットをアルケンABCに積んで拠点へと戻った。

 そして改めて工房のあるメアリーの住む住居に足を踏み入れると、フローラと二人で何やら親し気にヒソヒソ話をしているではないか。

 ……よく見るとメアリーが興味津々という顔つきで何かを尋ねて、そのたびにフローラが恥ずかしそうにしながらもどこか自慢げに何かを話している……そして何かのサイズを示すかのように両手を動かし、それを見たメアリーが……。

 

 そんな二人の会話を断ち切る様に俺は大声でわざとらしく今戻ってきたと告げると、途端に二人ともびくりと身体を震わせて……不自然な笑顔で俺にお帰りと告げて来る。

 その視線が何やら下の方に偏って見るのは……きっと気のせいに違いないな、うん。




【今回名前が出た動物】

アルゲンダビス(アルケンABC)
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