五百二十九頁目
ケツァ君の背中には一通り設備が整っていて、更に皆がくつろげるだけの隙間が空いている。
おかげで空飛ぶ車に皆で乗っているような感覚で……全員で初めて出かけているということもあって、まるでピクニックに出かけているような気分になる。
だから何となく気が緩みそうになるが、これから仲間にする恐竜の凶悪さを思えば油断は厳禁だ。
尤も準備は万端だしアルケンも連れてきている……向こうは空を飛べないのだから非常時でもこれで逃げれば何も問題はないはずだった。
後気を付けるべきは最初の罠をどう設営するかと、あの恐竜をどうやってそこまで誘導するかだけだ。
しかしそれも起動要塞の上から遠距離武器で攻撃すれば難なく出来るだろう。
……ティラノを上回る肉食ですら安全に捕獲するめどがつくとは……最初の頃の命懸けでスピノなどを捕獲していた頃が嘘のようだ。
それだけ俺達の状況も進歩したということか、或いはこの島に適応したというべきか……その上あの肉食が手に入れば、もう何を恐れることも無い。
洞窟攻略こそ残っているが、それだって進んでやる必要は薄い……何せ俺とフローラの目的は、二人で幸せに暮らしていくことなのだから……。
追記
俺は何を思い上がっていたんだ……多少この島で長生きしたぐらいで、何が適応だ……。
少し成長したかと思えばすぐに調子に乗って油断して……何が俺達の目的だ、生活の向上が何だって言うんだ……。
一番大切なことはフローラと共に過ごす時間だったのに……。
ごめんよフローラ、俺が愚かだったからあんな目に合わせて……怖かっただろうに……そっちに言ったら沢山謝るから……だからもう少しだけ待っていてくれ……。
五百三十頁目
ようやく目的地である山に到着すると、例の恐竜はステゴやステゴに似た背中にとげの生えている草食などを追って麓の方まで下りて暴れていた。
起伏のある山では建物の設置が厄介だからそれはある意味で好都合だった。
早速全員で手分けして少し離れた浜辺に金属の土台を並べて、ドア枠ではなくて壁を重ねていく。
何故なら壁の方が耐久力が高いから……万が一にも怪我をしないように、完全に建物の中に閉じ込めて唯一開いている天井の上から麻酔矢と麻酔弾で打ち抜こうというのだ。
これならば安全に眠らせることができる……尤も代わりに食料の手渡しは、誰かが中に入ってしなければならないが眠らせた後ならば何も問題はないはずだ。
だからその際は誰かがアルケンAで壁の中に乗り込めばいい……そう判断してのことだった。
そして実際に罠風の建物が完成したところで、俺達は改めてケツァ君に乗り込み向こうの攻撃が届かない高度から矢を放ち注意を引き始めた。
追記
この頁を見た時、破り捨てたい衝動に駆られて耐えるのが大変だった。
だけどこれはある意味で遺書代わりになる……期待を裏切ることになる仲間達に攻めて最低限の意志だけは告げておかないといけない。
だから検閲しつつ読ませていい部分だけ残しているけれど……だからフローラ、最後の最後まで読み終えるまでもう少しだから……待っていてくれ。
そして本当にごめん皆……全員で協力していこうって……トライブの結成も何もかも俺が始めたことなのに……だけど彼女の居ない世界は耐えられないんだ……本当にごめん。
残った資材や俺達が作ったり捕まえたりした動物は自由に使ってください……せめてみんなは俺達のようにならないように気を付けて……。
【今回名前が出た動物】
ケツァルコアトルス(ケツァ君)
ギガノトサウルス(超巨大な肉食)
アルゲンダヴィス(アルケンA)
ティラノサウルス
スピノサウルス
ステゴサウルス
ケントロサウルス