ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第224話

百九十八頁目

 

 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいわたしのせいでごめんなさいごめんなさいごめんなさいしなないでしなないでおねがいだからわたしをひとりにしないで

 

追記

 

 あの人がオウ・ホウさんと一緒に洞窟探索に行っちゃったから、その間にちょっと確認に来てみたけど……今読み返すと思ってた以上に恥ずかしいなぁ……感情のままに書き連ねちゃって……だけどこの時は混乱してたから……。

 前のページを合わせてくれると分かるけど、当時の私ってこの島に居たばっかりで肉食に襲われて……やっと助けに来てくれたあの人まで私の我儘で大怪我を負わせちゃって……すっごく取り乱しちゃってたんだよ。

 本当に怖かった……もしもあの人をここで失ったら一人ぼっちになっちゃうって……そんなの怖くて生きていけないって思った。

 

 だけどね今は違う理由で怖いの……あの人がいなかったら……愛する人を失ったら、私は辛くて生きていけないなって……。

 それでも同時にこうも思うの……あの人が命を落とすようなことがあったら、その時は多分私を庇ってのことだ……それだけは絶対に駄目。

 

 

百九十九頁目

 

 もうこれに縋るしかない、このレシピに書かれているメディカルブリューという体力を回復させる飲み物を作らないと。

 材料はアルケン君が持ってる腐ったお肉と黒い果実を混ぜ合わせて作る麻酔薬と赤い果実を飲み水で茹でながら溶かし込めばいい。

 問題は調理鍋だ……水が漏れずに火に当てても壊れない物など、手持ちの資材でどうやって作ればいいのか私には想像もつかない。

 

 だけどやらないと、私のために傷付いて意識を失っているこの人が死んでしまう。

 だから考えに考えて、ふと瀕死のこの人が前に左手の鉱石を見つめながら何かしらを工作していたことを思い出した。

 必死に自分の鉱石を見つめながら願うように調理鍋の作り方を考えて……不意に鉱石が緑色に輝いた気がした。

 

 ……あっ!? そうだ石と木材を中心に火打石やわらも利用して……上手く組み合わせれば出来るかもしれないっ!!

 

追記

 

 懐かしいなぁ……この頃から私、オリジナルレシピの作成とかクラフトに手を出すようになっていったんだったっけ。

 安善だからってまだまだこの島に慣れていなかった私の為にあの人が割り振ってくれた仕事……少しでも役に立ちたくて必死に努力したなぁ……。

 おかげで結構上達したと思うしあの人や他の皆の役に立てるようになったと思うけど……逆にたった一人でこの作業もこなしてずっと生き抜いてきたあの人は本当に凄いと思う。

 ううん、それだけじゃなくて私を含めて色んな人を助けて回って……暮らしていける地盤を作っていて……本当に尊敬できる人だと思ってる。

 

 だからこそ、あの人が私の為に死ぬような真似はさせられない……あの人は私たちがこの島で生きていくための……希望なんだから。

 

二百頁目

 

 レシピ通りに赤い液体を完成させたはいいけど、意識を失っているせいで上手く飲ませることができない。

 必死に方法を考えるけれど何も思い浮かびは……映画か何かで見た口移しで飲ませているワンシーンが思い出された。

 だけど自分もこの人も汚れ切っているこの状態で、まして出会ったばかりの人にそんなことをするのは抵抗がある。

 

 それでも目の前で呻く声が徐々に小さくなっていくところを見たら、もう一刻の猶予もないのだと危機感を抱く。

 このままこの人が死んだら私はまた一人ぼっちだ……何より命がけで私を助けてくれた恩人を見殺しになんかできない。

 覚悟を決めて私は赤い液体を口に含んで、顔を近づけていった。

 

 ……■■■■■■■……あぅ……だけどこれぐらい全然……それに

 

追記

 

 いちばん恥ずかしいところはやっぱり耐えられなかったから消しちゃったけど……ねえ、これを処分しないで読んでるってことは貴方は■■■なんだよね?

 どうしても気になるんなら傍にいる私に聞いてみてね……無いとは思うけどもしも私がそこに居ないなんてことは……貴方は私に隠し事とか嘘とか言える人じゃないから、その時は……泣いてたりするのかな?

 

 もしもそうだったとしたら……ごめんね……また私が足手まといになったか軽率な真似しちゃったんでしょ?

 

 最初に二人でこの島を探索し始めた時も、洞窟を探索したときもそうだったもんね……いつだって私のうっかりでピンチになって……そのたびに貴方が守ってくれて……多分、同じようなことが起きて間に合わなかったんだよね。

 そうじゃないとしても貴方は優しい人だからきっと悲しんでいると思うけど……辛くて苦しくて大変かもしれないけど……お願いだからこんなことで負けないでね。

 

 あの日、私を助けてくれた日から貴方は私のヒーロー……ううん、この島で先に生きている尊敬できる素晴らしいサバイバーなんだから。

 きっと貴方ならこんな島の環境にも負けず克服できるはず……だから私一人を失ったぐらいで落ち込まないで欲しいの。

 私はそんな貴方が……こんな場所でも生きる気力を失わずに逞しく生き抜いていた貴方が……本当に大好きだから。

 

 ……なんか恥ずかしいこと書いちゃった気がする……だけどこれが私の本心だから万が一の時にでも伝えておきたかったの。

 ここまで書いておいてもしも私たちが無事に暮らしているのだとしたら余りにもこの内容は恥ずかしすぎるような……まあその時は隣にいる未来の私が対処するよね?

 

 とにかくね、貴方に助けられた日からずっと……私は貴方のことを愛しています……仮に死が二人の間を別ったとしても、きっと魂は傍に……何かどんどん恥ずかしい子と書いちゃいそうだからもうこの辺で止めとこうっと。

 最後になっちゃったけど……ありがとうね■■■、貴方に出会えただけで私はこの島に来てよかったって思ってる……貴方もそう思ってくれてたら嬉しいな……出来れば二人で長生きして沢山の子供……や、やっぱり無しもうこれで終わりっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フローラ……俺も君にあえてよかった……幸せだった……だけどごめん、それ以上に俺は……君を失ったことを……その原因を作ったこの島を……許せそうにない」

「だからフローラ……悪いけどもう少しだけ待っていてくれ……この日記を読んで、君の気持ちを再確認したら……どうしてもやっておきたいことができてしまったんだ……」

「ひょっとしたら君は怒るかもしれないけど……悲しむかもしれないけど……俺は、どうしても……俺達の運命を弄ぶような真似をした……君の命を奪わせるような邪悪な仕掛けをしたこの島の主の思惑を……全部、ぶち壊してやらないと気が済まない……」

「見てるんだろっ!! 聞いてるんだろっ!! 誰だか知らないが、いいか監視者っ!! フローラを失った俺は今からただの名も無きサバイバーとして全力でこの島を……この世界を攻略してやるっ!!」

「そしてその果てにどんな手を使ってでもお前の元に辿り着いて……お前が用意した手段でもってお前を完膚なきまでに叩き潰すっ!! 必ずなっ!! だからそれまで……首を洗って待ってろクソ野郎っ!!」




【今回名前が出た動物】

アルゲンダヴィス(アルケン君)
サバイバー(■■■)
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