五百四十八頁目
メディカルブリューのおかげで簡単に傷は完治して、右手の動きを含めて体調は完全に近い状態だった。
おかげですぐに動き出すことが出来そうだったが、俺はあえて当面は拠点の中で物資の生成に集中することにした。
この島を制覇するにはまだまだ足りないものが多すぎるし、フローラという貴重な後方支援役を失った今、俺が一人ですべてやりきる気持ちで居なければいけない。
そう、俺は決めていた……もう仲間には頼らないと……この島の主と敵対してぶっ潰そうというのは俺の身勝手な想いに過ぎないから。
オウ・ホウさんもメアリーも……多分マァも最終的な目的は自らの故郷へと帰ることのはずだ。
もしもこの島が過去に絶滅させた生き物の繁殖場だとしたらどうしようもないが、そうではなくタイムマシーンを利用した娯楽場ならば彼らを満足させれば元の時代に戻れる可能性はあるのだ。
だから俺のやることはある意味で彼らの目的と反してしまう可能性がある……何より俺はもう仲間を失うことには耐えられそうにない……多分、俺みたいな弱い人間は最初から仲間なんか作るべきじゃなかった。
これも集落を作ろうとしていたフローラの願いとは真逆に向かってしまう気がするけれど、それでも俺はこの身勝手な復讐劇に他人を巻き込みたくはなかった。
……いや、本当のところは……フローラの仇を討つのは俺だけの特権だと……俺が一人でやり遂げたいと思っているだけの話なのかもしれない。
五百四十九頁目
金属鉱石と木材を工業炉に投げ入れて、逆に回収した木炭や金属のインゴットを使って、ケツァ君の背中にある設備で火薬を調合し続ける。
まずは自衛できる戦力を整えなければ話にならない……そして次に、まだこの島で攻略できていない深海へと乗り込むための準備だ。
そこに何があるのかはわからないが、この島にある環境を全て乗り越えて、隅から隅までこの世界を探索しきって、どこかで監視者へ挑むための足掛かりを見つけなければいけない。
当然洞窟も攻略するし、オベリスクを起動した後に出て来る化け物も退治する……この島の主の意地の悪い思惑など全て叩きのめしてやるまでだ。
粛々と作業をこなす俺を時折メアリーが様子を見に来て気遣う声を掛けて来るが、適当にはぐらかして追い返した。
フローラが残した設備こそ利用するが、後は俺一人の独力でやりきると決めている……だからもう他人との交流も最低限にするつもりでいる……呼びかける際も名前ではなくサバイバーと呼ぶように言い含めた。
それでも彼女は時間ができるたびに語りかけてきて……その内容からマァとオウ・ホウさんが共に行動して、動物を探しつつ残りの洞窟探索をしているようだとわかってしまう。
洞窟の場所ぐらいなら参考にさせてもらってもいいかもしれないが、マァが捕まえて来てメアリーが増やした動物は基本的に使わないつもりでいる。
もう俺は動物に情など抱けないから……完全に便利な道具として見ていて、使い捨てるぐらいのつもりで酷使していくつもりだから……親代わりとして育てているメアリーの気持ちを踏みにじらないためにもそうするつもりだった。
もちろんフローラを……したあの化け物も道具として利用していくつもりだ……俺が居ない間、処分するか迷ったらしいがフローラが文字通り命と引き換えに残してくれた動物を俺の一存を無視して処分できず面倒を見てくれていたらしい。
こいつばかりは何度殺しても飽き足りないが、だからこそ逆に死んだほうがましというぐらい使い潰してやる。
【今回名前が出た動物】
ケツァルコアトルス(ケツァ君)
ギガノトサウルス(化け物)