五百五十五頁目
草食島の周辺の海中を巡っていると、そこそこの速さで小型のイルカに似た奴がこちらに近寄ってきた。
戦う気かとワニの影に隠れつつ麻酔矢を構えようとしたが、そいつは敵意を見せずただ俺の方へとにじり寄って来るばかりだった。
チラリと逃げ道を確認してからそっと手を伸ばしてみても親し気に撫でられる一方で、やはり敵対する意思は見られなかった。
その懐きっぷりにこの調子ならすぐに仲間に出来そうだと思ったところで、前に陸上で眠らせず直接手渡しで仲間にした動物のことを思い出した。
そいつらもこいつと同じぐらい敵意を見せない奴だった……だから試しに果実と生肉を近づけてみると、思った通り肉の方に食いついてきてあっさりとこちらの仲間に加わってくれた。
これほど親しく接して来て見た目もイルカに似て可愛らしい生き物……もしもフローラが見たらきっと喜んだことだろう……俺も彼女が生きている頃なら或いは……止めよう。
こいつらも俺が指示を出せば命令を聞いてくれそうだが、身体つきからしてそこまで戦力にはならなそうだ。
だが向こうから近づいて来てくれて手渡しで餌を渡せば仲間になるから簡単に数を増やすことができる……これなら弾避けならぬ肉壁として便利に利用できそうだ。
五百五十六頁目
数匹ほどイルカを仲間にしたところで、実際に近くを泳いでいたサメにこいつらをけしかけて様子を見ることにした。
海中で指示を出すのは最初こそ難儀したが手振り身振りと水中をかき分ける音で、何とかこちらの意図を伝わらせることに成功したようで、イルカ達は果敢にサメに向かって挑みかかって行った。
しかしやはり戦闘能力には差があり過ぎるようで、しかも向こうの歯は鋭いためか一度噛みつかれるだけで激しく出血させられてしまうようだ。
それを嗅ぎつけたのか、思っていた通り他のサメたちも近づいてきているかへと襲い掛かっていく。
尤も泳ぐ速度ではイルカの方が上だから、その時点で逃げる指示を出したところ、サメたちは俺に無防備な背中を曝け出しながらイルカを追いかけ始めた。
その中で一番遅れている一匹の後を付いて回り、後ろから麻酔矢で打ち抜いて眠らせれないか試みた。
すると途中でこちらに気付いたようだがその時点で既に眠気が全身に行き渡っていたのか、どこか鈍い動きで逃げ出そうとする。
もちろん移動速度で勝るこちらが逃がすはずもなく、あっさりと眠らせることに成功した。
早速餌を与えつつ、未だに逃げ回っているイルカを追いかけて残りのサメも出来る限り仲間に出来ないか試してみるのだった。
【今回名前が出た動物】
イクチオサウルス(イルカ)
サルコスクス(ワニ)
メガロドン(サメ)