ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第230話

五百五十七頁目

 

 誤算が一つ……イルカ達がボロボロになり過ぎて、その血液のせいで次から次へとサメが寄ってくる事態になってしまった。

 このままではあいつらがやられた瞬間に、集まってきた奴らがこちらに襲って来かねない。

 尤もサメは既に三匹ほど眠らせることが出来ている……だからもう中断しても何も問題はない。

 

 後はあのままイルカを放置して立ち去れば俺は安全に戻ることができるだろう……あれだけ懐いていた子達を見捨てることに良心が痛まなくもないが、もう気にしないと決めたのだ。

 だから俺は……ぐるりと円を描くように泳ぐようイルカ達に指示を出しその上で全力でこっちに合流するように泳げと指示を飛ばす。

 移動速度の差からサメの群れを置き去りにしてこちらに合流したイルカを連れて、俺はそのまま草食島の浅瀬へと向けて逃げ出した。

 

 あそこなら身体のサイズの差からしてサメが入れない場所でイルカを休ませることができる……だけど目的はそっちではなくて、上手く浅瀬にサメをひっかけることで身動きを封じて仲間にしてやろうということだった。

 ……今更この島の生き物に俺が情けなど掛けるものか……あくまでも戦力の補給が目当てなだけ……傷付いたイルカが可哀そうだったわけでは断じてない……はずだ。

 

 五百五十八頁目

 

 今回の目論見も上手く行き、結果として俺はサメを七匹も仲間にすることができた。

 代わりにイルカは一匹失ってしまったが……損得で考えればサメを仲間に出来たことの方がずっと大きい。

 何より今までだって沢山動物を使い捨ててきたのだからこんなこと気にしても仕方がない。

 

 ただ何だかんだで今までは仲間にした動物は出来る限り生存させようと無茶はさせていなかった……少なくとも非常事態を除けば勝ち目のない敵に挑ませたりはしなかった。

 そのせいか妙に胸と右手首のフローラの鉱石を埋め込んだあたりが疼く気がした。

 だけどこんなことで一々良心の呵責を感じていてはフローラの敵など取れそうもない……割り切らなければ。

 

 五百五十九頁目

 

 乗ってきたケツァ君の背中には設備環境が整っている上に素材も積み込んできた。

 そして左手の鉱石を見るとサメのサドルの作り方もあっさりと思い浮かぶ……ただ製作にはセメントも必要になりそうだった。

 かつてはセメント不足が目立っていたがフローラのおかげで、石とキチンかケラチンを化学作業台で合成することですり鉢で作っていた時とは比べ物にならないほどの効率で大量に作り出せるようにはなっている。

 

 しかしそれでもキチンやケラチンを取れる動物が限られているせいで、どうしても節約したい気持ちは抑えきれない。

 だから仲間にしたサメ全員分ではなく、少数の精鋭にだけつけようと個体を選出しようと並んでいるサメたちを見比べていく。

 そこで気が付いたが、どうも仲間にしたサメたちは群れとして意識しているようで、その中で一番逞しそうなサメをリーダー扱いしているのかその子を中心に動いているようだ。

 

 ちょうどいいとばかりにその子にサドルを付けて乗って残りのサメを追従させてみると、野生化で個々に動いていた頃よりずっといい動きをしているように見えた。

 実際に近くの海中へと潜り、ちょうど目の前を泳いでいたシーラカンス辺りに攻撃させると、やはり野生児より力強く相手の身体を食いちぎっているように見えた。 

 どうやらこいつらは群れで行動させることで更に強くなるタイプらしい……群れと言えばそう言えばあの狼も似たような特徴を持っていた気がする。

 

 とにかく七匹もの群れで行動している俺のサメ達は恐ろしいまでの強さを発揮している……これならば深海に乗り込んでも安全かもしれない。




【今回名前が出た動物】

ケツァルコアトルス(ケツァ君)
イクチオサウルス(イルカ)
メガロドン(サメ)
ダイアウルフ(サメ)
シーラカンス
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