五百六十二頁目
チョウチンアンコウを求めて深海を泳ぎ回っていると、海底に蠢く何かが見えてきた。
また新しい何かかと思ってワクワクして近づいてみると、どうもそいつは陸地でも見た覚えのある三葉虫のようだった。
こんな深いところにまで生息していることに驚きつつ、そう言えばまだこいつから素材を剥いだことが無かったことに気が付く。
当時は必要以上に生き物の命を奪うことに忌避感があったからだが、もちろん今となっては何も躊躇する気はない。
遠慮なく攻撃して早速素材を剥いでみると、雑食故なのか解体していく最中に体内から不思議な物が幾つも出て来たではないか。
身体を構成しているであろう生肉とキチン質の素材はともかく、他に原油や真珠などまで手に入ってしまう。
しかも真珠の中には妙に黒光りしている物まで……最初は原油で汚れているだけかと思ったが、そうではないらしい。
実際に普通の真珠とは違い、重量があり手で触った間隔もまた少し違う気がする……これもまた新しい素材として使っていけそうだ。
陸地で見かけた時点でこいつを倒せていればもっと早くこの素材の存在に気付けたものを……フローラが生きているときに見せられたらきっと喜んだだろうに……。
それどころかあの化け物よりこの素材を手に入れることを優先していたりして今もまだ……止めよう止めようとしても、どうしても何かにつけて彼女を思い出してしまう。
忘れるよりはましかもしれないが、それでもこの危険な島でそんな物思いにふけっていては命がいくらあっても足りない。
実際に佇んでいた俺の耳に、サメ達が何かとぶつかり合う音が聞こえてきたではないか。
果たして顔を上げてみると……まさしく首長竜と呼ぶべき生き物が俺を狙って攻め寄せてきている所だった。
五百六十三頁目
何かの漫画か映画で見た姿そのままの文字通り首長竜としか言えないそいつは、力強い動きで周りにいるサメ達を蹴散らしながらこちらへと迫ってきていた。
どうやら単独での性能はサメを遥かに上回るようだ……しかし、群れで攻め寄せるサメ達の敵ではなかった。
四方八方から囲まれて動きが鈍ったところを、身体中まんべんなく齧られて一瞬で血だるまになった首長竜はそのまま出血に伴うダメージのせいでかあっさりと倒されてしまった。
これほどの巨体をした新生物をも瞬殺できるサメ達の群れとしての強さに驚愕しつつ、皮と肉しかはぎ取れなかった首長竜の死体をご褒美に食べさせてあげた。
思っていた以上にサメ達は強いようだ……これなら護衛として完璧かもしれない……もっともっと深海を探索しても安全そうだ。
だから酸素ボンベが持つ限り探索を続けようと、俺は新しい素材を求めて海底をうろつく三葉虫を狩り続けることにした。
するとまた別の生き物が海底に沿って蠢いているのが見えてきた……サソリによく似ているあいつは多分、ウミサソリではないだろうか?
そしてその傍でイカみたいに何かを吐き出して逃げようとしているのは……あの大きく特徴的な殻は、まさしくアンモナイト……まさか本当に、こんな早くお目にかかることになるなんて……。
尤も今の俺からしたらただの獲物でしかない……良い素材が取れるかどうかだけが肝心なのだ。
【今回名前が出た動物】
アンコウ(チョウチンアンコウ)
三葉虫
プレシオサウルス(首長竜……本当はエラスモサウルスらしいです)
メガロドン(サメ)
ウミサソリ
アンモナイト