ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第235話

五百六十八頁目

 

 ふとサメ達が俺の乗っていたリーダー格の個体に従っているところを見てあることを思いついた俺は、筏を作り浅瀬に浮かべるとこれにサメ達が追従するよう指示を出してみた。

 すると予想通りに皆、筏の動向を伺い始めて、実際に俺が乗って少し移動して見てもすんなりと付いてくるではないか。

 この筏を動かないよう浜辺に固定しておけば、サメ達が勝手に何処かへ行くことはなさそうだ。

 

 念のため飢えたりしないよう食料代わりに魚肉や生肉を筏の端に括り付けたロープに巻き付けて垂らしておいて、より一層こいつらが離れなくていいようにして置いてから俺は今度こそその場を飛び去った。

 そして改めてクラフト業に専念しようと金属のインゴットを大量生産している豪雪地帯に戻ろうとして……その前に身体から垂れる海水が気になってしまう。

 まあ正確には真水なのだけれど、それでも水に濡れている状態で電化製品に近づくのはどうかと思う。

 

 だから先に草食島へと戻り、そこでお風呂に入って身体をあっためてから移動することにした。

 ……ただこの判断は間違っていた……だってこの場所のお風呂は何時だってフローラと一緒に……一人では広すぎる……。

 いくらお湯で拭っても涙が溢れて来そうで、それでいて動く気力もなくぼんやりと湯船に漬かりながら右腕に移植したフローラの鉱石を眺めてしまう。

 

 ……ほんの一瞬、クラフトか何かを考えているときのような緑色に反応したように見えたのは俺の気のせいだろうか?

 それと同時に感じる温もりも……お風呂のお湯の温度を勘違いしたからなのか……わからないけれど実際に右手の鉱石に触れていると妙に気持ちが落ち着く気がした。

 まるで彼女が傍にいたころのように……だからついつい俺は日が暮れるまでそのまま浴槽の中に佇んでしまった。

 

五百六十九頁目

 

 やはり悠長にお風呂なんかに入っている場合ではなかったようだ……いや、それとも長湯したおかげで助かったというべきなのだろうか。

 豪雪地帯に移動したところで、ケツァ君の羽ばたく音を聞きつけたメアリーが血相を変えながら飛び出してきた。

 そしてしきりに俺を呼びかけて来て、着地したところでまるで抱きつくような勢いで飛びついてきた。

 

 一体どうしたのかと聞くとオウ・ホウさんとマァが大変で自分にはどうしていいか分からないというのだ。

 驚きながら彼女に手を引かれるまま複数ある家の中の一つに案内されると……扉の前にメモ書きが張り付けられていたではないか。

 そしてそこに書かれていた文字は……伝染病隔離部屋と書かれていて……驚く俺がドアに手を掛けようとするが鍵がかかっているのか入ることはできなかった。

 

 代わりにドア越しにオウ・ホウさんの苦しそうな声で近づくなと叫ぶのが聞こえてきた。

 こちらも彼にドア越しに大丈夫なのかと声を掛けつつ何があったのかを尋ねると、毒ガス洞窟を探索中にマァが水中に足を突っ込んだところで、ヒルか何かに吸い付かれてしまい、そこから体調を崩してしまったのだという。

 かつて軍事遠征などで疫病の恐ろしさを知っていたオウ・ホウさんはその時点で洞窟の攻略を放棄してマァを連れて帰り、すぐに今自分たちがいる家を隔離するための病室にしようと入り口にあのメモ書きを張り付けて鍵をかけて籠ったのだそうだ。

 

 そしてマァを楽にさせるために酸素ボンベを外して身体を清潔にしようとお風呂に入れて……その中でオウ・ホウさんもまた感染してしまったのだという。

 ……もしも俺が一緒に行っていたら多分こっちまで感染して偉いことになっていたような気がする……或いはもう少しこの場所に早くついていたとしてもオウ・ホウさんを迎え入れようとして……フローラが守ってくれたと思うべきだろうか。

 尤も洞窟で既に二回も病気にかかった経験のある俺からすれば対処法も既に分かっているのだが……そう思って記憶を元に病気について話しかけるが……何かがおかしい気がした。

 

 向こうが告げて来る症状が俺の掛かった病気とは違う症状のように思えて仕方がない……身体が重く感じる割に体力というか気力が徐々に減っていくような感覚はなく、また喉が異様に乾いて食欲もむしろ増す症状など俺は感じた覚えがなかった。

 まさか違う病気……だとしてもとにかく感染症ならば移し合わないよう距離を取って安静にしていればいずれ治るはずだ。




【今回名前が出た動物】

メガロドン(サメ)
ケツァルコアトルス(ケツァ君)
病気持ちのヒル
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