五百七十二頁目
早速向かってくる特殊個体の肉食に攻撃するよう指示を出すと、モフモフの奴が何やら妙な咆哮を始めた。
するとこちらの仲間である通常個体であるカルちゃんの同種たちは、何やら妙に勢いよく相手に襲い掛かり始めた。
そして身体が一回りも大きな特殊個体が相手だというのに、殆ど互角に渡り合っているではないか。
そこで俺の乗っているアルケンAもまた何やら張り切っていることに気が付く。
どうやらあのモフモフな肉食の咆哮には仲間の動物を勇気づける作用があるようだ。
恐らくそのパワーアップを求めて野生化でもこいつらは別主族同士だというのに群れで行動していたのだろう。
更に咆哮を終えたモフモフな肉食は戦闘に加わり始めたが、その強さもティラノに匹敵するか僅かに劣る程度の破壊力を見せているではないか。
サイズ的には中型ぐらいでそれこそ大抵の洞窟に入れそうな体格なのに……どうやらこの生き物は非常に使える動物のようだ。
目の前で争う動物たちを眺めながらそんなことを考えてしまうが、そんな余裕があるほど戦いは一方的な展開を迎えていた。
何せ四対一という数の有利もあるが、こちらの仲間であるカルちゃんの同種は頭の角を上手く使って相手を出血させて苦しめているのだが、向こうは特殊個体で体格が大きすぎるせいか頭の角を上手く使えないでいるのだ。
おまけにこっちには例のモフモフの肉食の咆哮によるパワーアップ効果もある……この差は大きすぎるようだ。
それでもかなり粘られてしまったが、結局こっちはそこまで傷付かずに倒すことが出来てしまうのだった。
……もうこの手の特殊個体ならば並大抵の奴は相手にならなそうだ……だけどそんなことを考えて油断しては駄目だ。
この島のことだからそんな油断を付くように新たな危機を放ってくるに違いない……それこそあの超巨大な肉食が群れで襲ってきたり、或いはそれこそあいつの特殊個体など出されようものなら……。
もっともっと力が必要だ……あの生き物だけじゃない、どんな奴が相手でも叩きのめせるだけの力が……。
その為には強い生き物を集めて武装を整えること……数を揃えなければ……。
単独でやるより群れで行動したほうがずっと強いのは今まさに目の当たりにしたばかりだ。
もちろんそれは動物だけでなく人間も……フローラがいたころにクラフトと分業して動いていた頃の効率の良さは目を見張るものがあった。
実際にトライブの人数が増えるほど加速度的に発展していった……オウ・ホウさんと出会う前は電化製品以前の問題で洞窟だってヒイヒイいいながら何とか二つだけ攻略するのが精いっぱいだったではないか。
……やっぱり仲間が必要なのか……だけど俺は……俺なんかの自分勝手な復讐に皆を巻き込むのは……フローラ……君が居たらやっぱり一人でやろうとする俺を叱るかい?
【今回名前が出た動物】
αカルノタウルス(特殊個体の肉食)
ユウティラヌス(モフモフの肉食)
カルノタウルス(カルちゃんの同種)
アルゲンダビス(アルケンA)
ギガノトサウルス(超巨大な肉食)