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改めて料理の性能を確認するためレシピを探そうと思うが、恐らくは料理を担当していたメアリーが管理しているはずだ。
だから近づかないよう彼女の居る建物内の別の部屋から声を掛けて訪ねてみると、調理室があるらしくそこにレシピは一括で管理してあるのだという。
言われた通りにその部屋へ向かってみると、いつの間に作ってあったのか水道に直結された巨大な鍋が設営されているではないか。
てっきり未だに調理鍋で作っているとばかり思っていたが、あれとは違い直接水道から水を引ける上にガソリンを使うことで火力を調整してより効率的に料理を作れるようになっているようだ。
実際にその傍に三つも作られている冷蔵庫の中を覗いてみると、そのうちの一つにはメディカルブリューがいっぱいになるほど詰め込まれて保管されていた。
多分この設備もフローラが作った物なのだろう……俺達のために本気で後方支援に徹してくれていたようで今更ながらに感謝と、そんな事にも気付けず甘えていた自分の不甲斐なさを悔やみたくなる。
そんなことを考えながら近くにあった本棚からレシピを取り出して確認して見ると、思った通りラザルスチャウダーという料理が水中での酸素とスタミナの消費量を抑えてくれるという。
不思議な効能については今更突っ込む気にはなれない……この島の素材で作った物だし、何よりあのロックウェル氏のレシピなのだから間違いなく効果があるのだろう。
ただ基本的に水中で俺は動物から降りる気はないからスタミナが減ることはないだろうし、酸素もボンベを背負っている以上は問題はないはずだ。
そしてメディカルブリューの一件を思えば、恐らく人間用の食事は動物には効果が薄いはずだ。
それでも俺は万が一、あのイカに自分が乗っている生き物を拘束された時に備えてこの料理を量産……するまでも無く、既に冷蔵庫に詰まっているこれを次の際には持ち出すつもりだった。
……深海を攻略するうえであのイカへの対策だけは考えなければ……いっその事仲間に出来ればいいのだけれど、あの巨体に麻酔を行き渡らせるにはどれだけの麻酔矢が必要になることか……。
せめて水中でもライフルが使えればより強力な麻酔弾が使えるのだけれど……何か方法はないだろうか?
五百七十八頁目
色々と考えて見たがやはりいきなりあのイカを仲間にするのは難しいと判断した俺は、その前にあの首長竜を仲間にすることにした。
本当はモササウルスが良いのだけれど、あいつもあいつで巨体だから眠らせるのにどれだけ麻酔が必要になるか分からないし、何より首長竜と違いモササウルスとは直接やり合ってはいないため、その強さ次第では悠長に眠らせようとしている間に逆襲に会う可能性もあるからだ。
尤も首長竜もそれなりの体格をしているから麻酔矢だけでは不安が残るが、そこで一つある方法を考えてみた。
あくまでもライフルが使えないのは水中で火薬が湿気るから……逆に言えば地上から狙う分には何も問題はないのだ。
だから深海で見つけたあいつをできる限り陸地近くまで引き寄せてきて、そこから狙い撃とうという作戦だった。
……深海の生物は水圧の関係で浅瀬までは浮上できないとかいう話を聞いたことはあるけれど、まあこの島の生き物なら問題ないだろう。
それに失敗したらまた新しい方法を考えればいいだけだ……命さえ失わなければ何度だってやり直せるのだから……もう二度と、誰も失ってたまるものか……。
【今回名前が出た動物】
トゥソテウティス(イカ)
モササウルス
プレシオサウルス(首長竜)