ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第245話

五百八十四頁目

 

 話し合いの最後に俺が深海で体験した情報と入手した新素材を見せると、メアリーはその中の黒真珠を興味深そうに手に取って転がし始めた。

 見た目が綺麗で希少価値がありそうだから一瞬、アクセサリー代わりに欲しがっているのかとも思ったが、少しその感触を堪能した彼女はこれならフローラが前に行っていたある物が作れるかもしれないと呟いた。

 俺も知らないそんな会話をしていたことに驚くが、彼女は拠点での活動が多かったために、同じく拠点でクラフト業に精を出していたフローラと二人で話す機会が多かったのだという。

 

 その際にフローラが毒ガス洞窟の攻略に使える物を作ろうと、化学作業台で真珠を使って新しい何かを……正確にはそれを作るための素材を作ろうとしていて、結局は真珠の品質か何かの問題で上手く行かなかったとぼやいていたそうだ。

 ……本当にフローラは色んな事をしていたんだなぁ……やっぱり生きているときに見せてあげたかった。

 尤も毒ガス自体は酸素ボンベとギリー装備で何とかなることはわかっているから、もうそれを作る必要はないかもしれない。

 

 ……それでもフローラが言い残してくれたものだから、作っておきたいと思ってしまうのは俺のエゴだろうか。

 

五百八十五頁目

 

 一通り情報交換も終わったところで、本日の予定について話し合いの内容は移った。

 尤もやることは今までと変わらない……とは言い難い。

 フローラが居なくなった今、彼女の抜けた穴をどうにかして埋めなければいけないからだ。

 

 何せ俺達の活動に必要な消耗品の殆どはフローラが作ってくれていたのだ……動物の捕獲に使う麻酔からこの島や洞窟の探索に使う武具の手入れに生活のための設備施設も……。

 俺が一人で動いていた時も自分の分を用意するだけでも丸一日かかってしまっていたのに、仲間全員の分となると一筋縄ではいかないだろう。

 それでもメアリーが既に料理は大量に作って冷蔵庫に保存してあるから、それを作るのに当てていた時間を利用して麻酔矢ぐらいは作ってくれるというが……火薬を扱わせるのは危険すぎるから、麻酔弾は自分でやらないといけない。

 

 尤も当面はフローラが大量に貯えておいてくれた物があるから問題はないだろうけれど……いずれ保存してある麻酔薬が切れ始めて来たときが大変だ。

 何せ麻酔薬の調合をするための化学作業台を使える人間が俺しかいないのだ……マァは当然として、オウ・ホウさんも時代背景的に化学などと言う言葉を聞いたこともないはずなのだ。

 かろうじてメアリーが錬金術だかという単語を知っていたぐらいなのだ……どうにかして麻酔薬の在庫が尽きる前にこの設備の使い方を教えないと……。

 

 まあやろうとさえすれば左手首の鉱石が教えてくれるはずだからそう難しくはないはずなのだが……。

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