五百九十頁目
不思議な場所だった……山の斜面にあるというのに、そこだけ人工的に整地されていて未知の金属で覆われていた。
そして中心部分は盛り上がっていて平たくなっていて……不思議な輝きを放っている。
まるでオベリスクの起動装置にも似ていると感じた……その平たい場所の中心に左手首の鉱石と同じ形をしたボタンが付いていることも含めて……恐らくは素材も……。
間違いなくこれは島の主が用意した何かだろう……しかし他の人日記にもこんなものは置かれていなかった。
気づかなかったから……というのはちょっと無理がある。
なにせ金属質で太陽光を反射する性質からしても、何度も上空を飛んでいれば嫌でも気づくはずなのに……実際に呆然と空を飛んでいた俺ですら見つけられたぐらいなのだから。
ひょっとしたらまだ見つけていない日記に書かれているのかもしれないけれど、とにかく全く情報のない物を目の当たりにして、俺はどう反応するべきか迷いつつも手を伸ばした。
そしてボタンに触れるか触れないかというところで急に左手首の鉱石と、右手首に埋め込んだフローラの鉱石が同時に反応を示し始めた。
共鳴でもしているか、淡い光が放たれ始め……それがどんどん強くなると同時に何故かすさまじい頭痛が俺を襲ってきた。
まるで頭の中に直接大音量で雑音が響き渡っているようであった……いや、これは声なのだろうか。
誰かが本来の方法以外で無理やり語りかけてきているような感覚と共に余りの苦痛に耐えきれなくなった俺は……意識を失った。
そして俺は夢を見た。
『…………』
左手首についているひし形の鉱石が語りかけてきている……そんな夢だ。
『…………』
何を言いたいのか、何を告げたいのかはわからない。
『…………』
ただ何となく確信できることが一つだけあった。
『…………』
多分こいつが……こいつこそがこの世界を管理している超常的な存在だ。
だから俺は尋ねた……お前は何者なのかと。
『…………を待つ……』
聞き取れたのはそれだけだった……それが返事だったのかはわからないが、十分だ。
待つ者……ああ、待っていろ……俺が復讐に行くその時を……っ!!
五百九十一頁目
気絶していたのは一瞬だったようで、目を覚ました際に獣に齧られていたということはなかった。
ただ心配そうにアルケー君が俺を突いていたから優しく撫でてあげながら、俺はさっき見た夢について考えることにした。
あの苦痛と共にただの夢とは思えないほどはっきりと覚えている……何よりあんな風に一瞬だけ急に意識を失うなんて普通ではありえない。
しかもこの不思議な装置に触れた直後にだ……だから俺はあれは夢ではなく、本当に何者かが……恐らくこの世界の管理人が干渉してきたのだと判断した。
尤もその目的は全く分からなかったが……とにかくあいつこそが俺が倒すべき相手なのだろう。
見ていてくれフローラ……俺は必ずあいつを……そう思って右手首の鉱石を見ると、何故か一瞬だけ……まるで俺の意見を否定するかのように赤く輝いた気がした。
……復讐なんか望んでいないということなのか……だけど君を失った今、俺には他にもう生きる目的がないんだよ……それこそ前に考えたみたいに君が戻ってくる可能性があるのなら話は別だけれど……。
【今回登場した動物】
アルゲンダヴィス(アルケー君)
【今回登場した日記?】
???(#?)