ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第250話

五百九十四頁目

 

 沼地に生えているマングローブの様な木々を切り倒し、その根っこに生えているキノコを採取しようとした……のだがここには飛び掛かってくるワニを始めとした厄介な生き物が多すぎる。

 だから護衛が居なければどうしようもない事に今更ながらに気が付いたが、アルケー君で運べる生き物はケツァ君に比べると遥かに少ない。

 そしてこの場所は小さい生き物では木々の根っこに阻まれて動きが制限されてしまう。

 

 それでも仲間がいればお互いにカバーし合うことで問題なく活動できたが、一人では木々に手間取っている間に動物から襲われたらひとたまりもない。

 だからいま必要なのはこの辺の木々をものともせずに進めるぐらいの巨大な恐竜だ……それこそティラノやブロントサウルスぐらいの……あるいはそれに匹敵するサイズの動物……そして近くにいてこの場所まで連れてこれる奴だ。

 

 ……その条件に合う奴は一匹しかいない……つい先ほど、見たくないからと別れたばかりの……。

 

五百九十五頁目

 

 色々な葛藤はあったが、結局俺はあの超巨大な肉食を連れに戻ることにした。

 フローラが命を賭して仲間にしてくれた奴ではあるし……何かの役に立てないと、それこそ彼女の死が無……止めよう。

 とにかくあいつを追従させて……アルケー君は当然として仮にケツァ君が居ても運べそうにはないので当然だが、地面を歩かせながら移動を開始した。

 

 空を飛べばあっさり到達する程度の距離だが、歩いて移動するとどれだけかかるのか……そう思っていたが、予想以上にこいつの進軍は凄まじい物だった。

 身体が大きいから一歩ごとに進む距離が大きく、下手な段差どころか小さな崖ぐらいなら簡単に踏破して進んでしまうのだ。

 おまけに力強くもあるために道を遮る動物は踏みつぶし、木々をも簡単になぎ倒してしまうのだ。

 

 おかげで障害物などに悩まされることもなく、ほぼ一直線に目的地である沼地へと移動することができてしまうのだった。

 

五百九十六頁目

 

 沼地に生えているマングローブの様な木々を動物ごと超巨大な肉食に食い散らかしてもらう。

 果たして身体が大きすぎるために一口齧るだけで足の周りにいる殆どの生き物が簡単に駆逐されて行ってしまう。

 おかげで生肉やら皮やらがドンドン手に入るが、今回の目的はそれではない。

 

 一通り敵を倒し終えたところで、超巨大な肉食を護衛代わりに控えさせながら再度復活した木々を切り倒して、その根っこに生えているキノコを採取していく。

 ……そうして採取していると何やら思い出してしまう……この場所で俺はフローラとオウ・ホウさんの三人で動物をたくさん捕獲したのだ。

 まだ感傷が残っているのか、或いはこの肉食を利用していることで精神に影響が出て居るのかはわからないが、彼女との思い出が蘇って仕方がない。

 

 あちこちで飛び跳ねているカエルを嫌がっていたこと、蛇も表面がヌメヌメしてるから近づきたがらなかったこと、背中にヒレのある両生類っぽい奴の背中に無理やり乗ろうとして転んでずぶ濡れになり張り付いた服を両手で必死に隠そうとしたこと……。

 何かするたびに怒ったり笑ったり嫌がったり悲しんだり……コロコロと表情を変えて……だけど最後には俺に笑顔を見せてくれていたフローラ。

 ……この島には彼女と作った思い出が多すぎる……だからどうしてもどこへ行っても彼女のことを連想してしまう。

 

 おかげで胸が痛んだがその間も俺の身体は淡々と作業をしていたようで、気が付いたら沢山のキノコと木材が集まっていた。

 尤も木材はビーバーから貰った分もあることだし置いて行ってもよかったけれど、せっかく連れて来たアルケンAに持たせるだけ持たせておくことにした。

 それと巨大な肉食が倒した敵の素材も……と思ったところでヒルの死体と思わしきものまでぷかぷかと浮いていることに気が付いた。

 

 そう言えば前にも沼地で見かけたことがあったような……あの時はトリケラか何かが吸い付かれていたような気がするけど、病気になることはなかった。

 洞窟の中でなければ病気を媒介するような奴は発生しないのかもしれない……或いは動物には掛からなないか……まあ注意するに越したことはないから後者だと思って警戒しておこう。




【今回名前が出た動物】

カプロスクス(飛び掛かってくるワニ)
アルゲンダヴィス(アルケー君・アルケンA)
ケツァルコアトルス(ケツァ君)
ティラノサウルス
ブロントサウルス
ギガノトサウルス(超巨大な肉食)
ベールゼブフォ(カエル)
ティタノボア(蛇)
ディメトロドン(背中にヒレのある両生類っぽい生き物)
カストロイデス(ビーバー)
ヒル
トリケラトプス
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