五百九十七頁目
ヒルの死体を眺めながら、ふとこいつから素材を採取していなかったことに気が付いた。
深海でもそうだったが新しい生き物からは新しい素材が取れることがある……だからこいつからも何か取れるのではと思い、一応解体して見ることにした。
するとその体内からあふれ出てきた血液が液体とは思えないほど濃厚で妙にドロリとしていて、何かに使えそうに思えてしまう。
左手首の鉱石をいつも通り眺めながら考えてみたところ、ひょっとしてヒルの病気に対する抗体代わりとして使えるのではないかと思いついた。
病気の宿主なら免疫があってもおかしくないから、これを直接飲んで……も流石に無理だろうけれど、解毒薬の材料には使えるのではないだろうか?
果たして左手首の鉱石が淡く光ったかと思うと、解毒薬を作るためのサイの角の代わりに使えそうな気がしてくる。
だから可能な限り集めて持って帰ることにしたが……気が付いたらアルケンAだけでなくアルケー君まで持てる限界まで荷物を背負うことになってしまっていた。
無数の木材に超巨大な肉食が倒した獲物の皮が大量に手に入っていることもあるが、一番の理由は……余りにも取れ過ぎた霜降り肉が嵩張っているせいだった。
……仕方ないのでこの場に残すしかない超巨大な肉食の奴に食料として持たせてやると嬉しそうに貪り始めたが、それを見届けることなく俺はこの場を後にした。
五百九十八頁目
解毒薬の材料を集め終えて雪山の拠点へと戻った俺を、同じく材料を集めてきたオウ・ホウさんが出迎えてくれる。
しかし彼は少し申し訳なさそうに、花こそは集めたけれどサイの角は殆ど集められなかったと頭を下げて来る。
やはりこの試される大地では草食動物はすぐに駆逐されてしまい中々繁栄できないようだ。
尤も偶然とはいえサイの角に代わる素材を手に入れておいたので何も問題はない。
だからオウ・ホウさんにもそのことを伝えておき、二人で手分けして毒ガス洞窟を攻略するための準備に掛かった。
つまり俺が解毒薬を生産しておき、オウ・ホウさんはその間にケツァ君を利用して動物を洞窟前に運搬しておくのだ。
もちろんこれらの作業はそれなりに時間が掛ってしまう……それに解毒薬の素材集めにも時間を使ってしまった。
だから全ての準備が終わる頃には日が暮れてしまうはずだ……つまり本格的に毒ガス洞窟を攻略するのは明日以降になるだろう。
……逆に言えばそれだけ時間はあるのだから、何かもう一つぐらいあの毒ガス洞窟を攻略するのに役立つ道具を作っておきたいものだ。
何せあまり大型の生き物が入り込めないというのに、向こうはその分だけ小さい虫が群れ成して襲ってくるのだ。
その虫対策となりそうな何かが欲しいところだが……あの虫に反応して暴れまわるナマケモノを利用したいところだが、あいつは身体が置き過ぎて入ることができない。
尤も虫を外までおびき寄せて倒させることはできるだろうけれど、そんなやり方ではどれだけ時間が掛るやら……何より倒している間にどんどん新手が産み出されかねない。
その全てを相手して倒していたら大変な労力に……ならむしろ戦わなければ……虫よけスプレーみたいなものを作れれば或いは……。
【今回名前が出た動物】
ヒル
アルゲンダヴィス(アルケー君・アルケンA)
ギガノトサウルス(超巨大な肉食)
ケブカサイ(サイ)
メガテリウム(ナマケモノ)