六百十頁目
慌ててマァの様子を見に行った俺達だが、連れていかれた先の部屋で彼は布団にくるまれて安らかな寝息を立てていた。
おまけに怪我らしい怪我も殆どしていなくて呆気にとられそうになるが、見ればその布団の周りには飲み干したであろうメディカルブリューが大量に転がっていた。
どうやらボロボロで帰ってきたマァを見てメアリーはフローラを失った時のことがフラッシュバックして冷静でいられなかったようだ。
だからこうして怪我が治療できた後も不安そうにして……何より俺達が居ない状態で一人でマァの容態を見ていたせいで何かあったらとパニック寸前だったようだ。
尤もそれは俺も同じだ……無事そうなマァの様子を見て安堵の溜息をつくとともにその場に崩れ落ちそうになってしまった。
……とにかく本当に無事で何よりだ……もしもまた仲間を失ってしまったら俺は……考えたくもない。
六百十一頁目
念のために寝ているマァを起こさない程度に身体の状況をオウ・ホウさんと共に確認したが、やはり問題はなさそうであった。
だからこのまま寝かせて体力を回復させてあげようと隣の部屋へと移ったところで、ようやくメアリーも落ち着いたらしく近くの椅子に力なく腰を下ろし深く息をついた。
そんな彼女の心労を思い肝心な時に留守にしていたことを謝罪しようとするが、その前にオウ・ホウさんがどうしてああなったのか改めて尋ね始めていた。
マァは何だかんだで野生児だけあって身のこなしも優れているし、何より危機に対する勘はかなりのものであった。
そんな彼がボロボロになる事態とは何なのかを聞いておきたかったらしい。
確かに何が起きたのかは俺も気になる……何かしらのトラブルだろうけれど、今日のマァは俺の頼みで水中の生き物を……特にサメを中心に捕まえに行っていたはずだ。
ひょっとしてあの凄まじい電撃を放つクラゲにちょっかいを出して返り討ちに会ったり、或いはサメを追いかけて深海まで進出してえらい目に合ったのかとも思ったがそれに関しては事前に忠告もしてあったはずだ。
だからマァが無警戒に近づくとは思えなくて、余計に何が起きたのか見当もつかなかった俺はメアリーの言葉を待った。
果たして彼女は混乱していたからはっきりと聞けたわけではないがと前置きしつつ……マァが海中に洞窟、と漏らしていたと告げて来た。
その答えは余りにも予想外過ぎて、俺は思わずオウ・ホウさんと顔を見合わせてしまうのだった。
……まさかまだ見つかっていなかった残る二つの内の一つがこんな形で……しかも海中で見つかるなんて……。
【今回名前が出た動物】
メガロドン(サメ)
【今回見つかった洞窟】
CavernsOfLost Hope(狡猾の洞窟)