ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第258話

六百十二頁目

 

 洞窟の場所を含めてもう少し詳しいところを知りたいところだけれど、これ以上はメアリーも知らないようでマァが起きるのを待つしかないようだ。

 しかし時間的に考えてマァは恐らくこのまま朝まで眠り続ける可能性が高い……詳しい話は明日の朝まで我慢するしかないだろう。

 だからこの話は置いておいて、俺はオウ・ホウさんと毒ガス洞窟の攻略について準備も含めて話し合おうとして……メアリーに服を引っ張られてしまった。

 

 一体どうしたのかと振り返ってみて……驚いた。

 何故ならあのメアリーが……今にも泣き出しそうな顔でこちらを見つめてフルフルと首を横に振って見せていたからだ。

 そしてか細い震えるような声で洞窟は危険だからもう挑まないで欲しいと呟いてくるのだった。

 

 どうやらマァが傷付いて帰ってきたのがよほど堪えたようだ……いや、考えてみたらその前もマァはオウ・ホウさんと毒ガス洞窟に入って病気になって苦しんでいた。

 そのたびにメアリーは一人で傷付き苦しんでいる人を出迎えて……フローラを失った時と重ねて見て胸を痛めていたのかもしれない。

 ここまで弱々しくなった彼女の姿は初対面の高圧的だったころとはまるで別人のようで、俺達は逆にどう接していいのか分からなくなってしまうのだった。

 

六百十三頁目

 

 とにかく落ち着かせて今日のところはメアリーに休むよう言い聞かせたが、彼女は最後まで俺達に洞窟へ行くなと……もう危険なことはするなと口にしていた。

 洞窟を探索してアーティファクトを集めなければ家に帰れる可能性も無くなってしまうというのに……それだけ彼女にとってもフローラを失ったことは衝撃だったのだろう。

 そして同時に俺達のことも本当の仲間だと……大切な存在だと思ってくれているのだと理解できてしまう。

 

 ……それでも俺はフローラの敵討ちのためにも……メアリーには悪いと思うけれど、アーティファクト集めを辞める気にはなれなかった。

 果たしてオウ・ホウの方もどうしても元の場所へ帰る……というより主の行く末を見届けたいとのことで、このままこの場で何もせず暮らしていく気にはなれないようだ。

 また個人的に気になるのはこの島の主の思惑だ……停滞を許そうとしない仕組みからしても、俺達がこの場で完全に安全な暮らしを手に入れて洞窟探索も何もやらなく平凡に過ごすようになったら何をしてくることか……。

 

 それこそあの超巨大な肉食を大量に発生させたり……それどころかあれの特殊個体を出してくる可能性も……。

 そう言う意味からしてもやっぱりメアリーの言う通りにするわけにはいかなかった。

 しかしそうなると彼女を説得する必要が……上手く行けばいいのだけれど……。

 

 そんな不安を抱えつつも、俺達は今度こそ毒ガス洞窟の攻略について話し合い始めるのだった。




【今回名前が出た動物】

ギガノトサウルス(超巨大な肉食)
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