六百十四頁目
次に攻略する毒ガス洞窟は既に何度も入っているが未だに一度も攻略しきれていない難関だ。
だから連れて行く動物から持ち込む道具まで綿密にオウ・ホウさんと相談して、ようやく方針が決まったころには日も暮れて夜中になってしまった。
尤も連れて行く動物も持ち物も今の時点で揃っていて後は揃えるだけでいい……なので今日のところは明日に備えてゆっくりと休むことにした。
また幾つもある建物の内の一つに入り……一時期は新しく来る人達をも集めて集落を作ろうとしていただけに、住居は余り過ぎているぐらいなのだ。
結局その計画もフローラを失うとともに立ち消えになってしまったが……そう言えば本当にあれから新しい人は来ていないのだろうか?
何だかんだで様子見に行こうと思うたびに何かしらのトラブルが起こって確認には行けなかったのだが……もし実際に新しい人が来なくなっているというのなら管理者側にも何かトラブルでも発生したのだろうか?
そんなことを思いつつまたフローラの事を考えてしまった俺は、睡魔に飲まれるまで右手首に埋め込んだ彼女の鉱石をぼんやりと眺め続けていた。
……眠る直前で朦朧としている視界の中で、まるで俺の考えを肯定するかのように鉱石が淡い緑色の光を放ったように見えたような気がした。
六百十五頁目
朝になり目が覚めたマァは元気を取り戻しているようだった。
あれだけ連日で酷い目にあったというのにその逞しさに驚くが、考えてみれば元々マァは野生児でサバイバル生活を送っていたようなものだから慣れているのかもしれない。
とにかく彼が元気なところを見てメアリーも多少は気持ちが落ち着いた様子で……それでも危険な真似をして余り心配させるなとマァを窘めていた。
その際にこっちにも何か言いたげな視線を向けてきたが、あえて気付かないふりをしながら俺達はマァに何があったか改めて詳細を尋ねてみた。
果たして片言ながらもマァが語り始めた内容からして、どうも彼は俺のお願い通り草食島の辺りでサメを捕まえて回っていたらしい。
しかし十匹ほど仲間にしたところでふと気が付くと草食島から離れすぎてしまっていたことに気が付いた。
どうやら泳いで逃げる奴を追いかけて居たら自然と北へ北へと向かってしまっていたらしい……それでも自分の場所を見失わないで済んだのは、ちょうどそこが例の超巨大な肉食を捕まえた山の付近だったからだそうだ。
マァにとってもフローラを失ったのは大きすぎる出来事だったようではっきり覚えていたらしい……その上で余り見て居たくなかったからすぐに潜水しながら草食島の方へと戻ろうとした……ところで変なウネウネした生き物が発光しながら襲ってきたのだという。
その物珍しさにマァは仲間にしようとしたが近づくとビリビリと身体が痺れる感触がして、これはヤバいと本能的に判断して即座にサメ軍団をけしかけて退治したそうだ。
その上で一体どこからこいつが来たのか確かめようと周囲を見回したところで……海底に繋がる岩壁の一部に巨大な大穴が開いていて、その中を無数の生き物が群れ成して泳いでいるのに気が付いた。
前日に毒ガス洞窟へ足を踏み入れていたマァはこれが洞窟ではと思いつつも、その生き物たちが気になって仲間に出来ないかと少し入ったところで特殊個体であろう巨体のサメが恐ろしい数の同族だけでなく首長竜やモササウルスすら引き連れて同時に襲い掛かってきたそうだ。
また命の危険を感じたマァは咄嗟に自分の乗っているサメを除いたサメ軍団を争わせつつ、その隙に一人逃げ出そうとしたがそこへこちらがけしかけたサメの群れを越えたモササウルスが数匹襲い掛かってきた。
そいつらは移動速度の差であっさりとマァへと追いついてきてサメごと食いついてきて……全身血まみれになりながらも、それでもとにかく酸素ボンベが壊されないうちに陸地に辿り着きあの超巨大な肉食で……と無理やり浮上していたところ、ある程度の浅瀬まで来たらモササウルスたちは戻って行ったのだという。
何やら前にも首長竜で同じような体験をした記憶が……もしかして深海にすむ生き物はやっぱり余り浮上できないのでは……。
……それはともかく、もしもモササウルスが戻らなかったら……マァはあの超巨大な肉食を使うつもりだったみたいだけど、多分その頃は俺が沼地で使ってたから……やはり事前にちゃんと共に行動する動物についても相談すべきかもしれない。
【今回名前が出た動物】
メガロドン(サメ)
デンキウナギ(ウネウネした発光している生き物)
αメガロドン(特殊個体のサメ)
プレシオサウルス(首長竜)
モササウルス